TENSEI塵語

2001年10月17日(水) 妻の手術の日

昨日、理事会の最中に入院中の妻から電話があって、
1時からの予定だったのが3時からになったというので、今朝11時まで勤務に出た。
行くまでもないかなぁと思ってたけど、案外いろいろと仕事があって退屈しなかった。

午過ぎに病室に行くと、腹が減って憔悴しきった顔をしているだろうと思ってたのに、
いつもと同じ表情で、いつもと同じ会話をしていた。
一昨日入院したときから、医師や看護婦たちから、
「心配ないですよ〜〜」攻めなんだ、かえって不安になる、と言って笑っている。          

まったく心配ないわけではないけれど、生死にかかわるような心配はしていなかった。
そんなことがあるわけないと信じていたに過ぎないけれど、とにかくそれはなかった。
心配なのは、手術中のトラブルであり、大変な思いを味わわせるのではないか、だった。
大体において、出産の時もすんなりと生まれたことはなかったようだし、
親不知ひとつ抜くのにも、私などは歯医者でその場で抜いて、
痛み止めの薬を飲む必要もなく、翌日にはケロッとしていたのに対し、
妻の場合は大学病院で実に大がかりな抜き方をして、つらい思いをしている。
こういうことになると、何かと不運な女なのである。
手術はきっと予定より長引くだろうし、
途中、医師から相談を受けることにもなるかもしれないし、
そうすると、何か苦しんでいる姿を想像して不憫になるという心配はあったけれど、
医師から何を言われても、お任せしますと答えるしかないということは明らかなので、
先走りして心配したってしょうがないことだった。
だから、手術の時間が来るまで、のんびりとふだんの会話をしていた。

手術中病室で待っているように言われたけれど、
狭苦しい部屋でただ待っているだけでは時間が長くてしょうがないので、
病室を出たすぐのところにある、患者がテレビを見に集まる場所にいた。
時折テレビに目をやりながら待っていた。
テレビでは裁判官の正義を扱ったようなドラマをやっていた。

手術は4時に始めて、5時ごろ終わると言われていて、
4時40分頃に、まだまだだなと思って座り直した途端に、
看護婦に名前を呼ばれて、話があるので手術室の入り口へ行くよう言われた。
やっぱり来たか、、、と緊張していた。
やっぱり変に余裕かましていると、心配が当たるもんだと思った。
ま、どんな状況でどんな提案をされても、落ち着いてお任せするのだと、
覚悟を決めて、階段を下りて、手術室に入って、待っていた。

2、3分待たされて、執刀医が出てきて、そして説明を始めた。
万事、予定したとおりに手術が終わり、何の問題もなく、輸血の必要もなかったと言う。
奇跡のような気がして、思いがけないほどの安堵感がわき上がってきた。


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