変な題のドラマだが、第4話まで見続けて、ますますおもしろくなる気配。
堤真一が、プライドの高い広告デザイナー貫井功太郎を演じているが、 その傲岸さが次第にとけていくようでもあり、いろいろな表情も見せ、 「なでしこ」の欧介よりも好演しているように思う。 ヒロインの本宮籐子(深津絵里)は、ほとんど無能みたいなダサイ30過ぎの女だが、 単なる直感に支えられた行き当たりばったりの決断で貫井を救って行く。 こういう兼ね合いがなかなかおもしろい。 「なでしこ」で若葉ちゃんを演じていた矢田亜希子は、 今度もまた堤真一の役、つまり貫井に恋する役柄である。 籐子の昔の恋人の妹で、同居している。かなりの信頼関係である。 たぶん、貫井をめぐる恋愛で、後半2人の間でひと騒動あるのだろう。 「なでしこ」では問題外だった矢田亜希子が、 このドラマでは頗るかわいく見えてしまうから不思議である。
物語は、貫井が自分の仕事に対する会社の干渉に嫌気がさして退職し、 木村壮吾とともに新会社を設立するところからだった。 女子事務員の必要から、人違いで、籐子をスカウトしてしまい、 籐子も退職して強引に社員として居座ってしまう。 そして、貫井は籐子を問題にせず、どちらかと言えば口論になることも多いが、 籐子の〈怪我の功名〉的な働きで、かろうじて新会社は維持されて行く。 新会社の経営難航の1番の原因は、前の会社の元上司である吉武(「なでしこ」の佐久間) の妨害工作によるものだが、きょうの第4話は、この吉武が、表向きの顔を捨てて、 本音に帰って、この新会社の営業担当として入ってきたところで終わった。 自分も企業の手足として利用されているだけの生き方には満足できなかった。 しかし、家族を守るためには、〈冒険〉などできなかった。 ところが貫井はそれをしたので、信頼していた部下も憎悪と嫉妬の対象となる。 ムキになって貫井の新会社を潰す工作に奔走する。 けれどもそれは本音を単に裏返した、歪んだ心情表現に過ぎない。 籐子の無謀な勧誘によって、結局は心動かされてしまう。 危険な〈冒険〉に賭けてはいけない、と自己を制しながらも、 それに抗しきれないで、自分も本来向かって行きたかったところへ行く決断をする。
このドラマは、30歳の女たちの生活や心情を徹底的に調査した上で作られたという。 ドラマの中にその成果が確かに盛り込まれているし、 一般サラリーマンの心情もなかなかよく描かれていると思う。 夢や理想と現実とのギャップに苦しむ姿は、 人間が社会の中に生きている限り、永遠の課題だとも言える。
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