TENSEI塵語

2002年02月10日(日) 「わくわくコンサート」の1日

きょうは市吹の行事日だった。
市の音楽関係の団体が集まって、2時間余のコンサートをやったのだが、
市吹には、50人弱の合唱団(それでも3団体の合同である)との合同演奏と、
民謡サークルとの合同演奏が割り当てられていた。どちらもなかなかの難題である。
合唱との合同演奏は不思議でないけれど、人数が少なすぎる。
民謡との合同演奏は、どのようにやるのがいいか、去年の11月から今年の初めまで、
もう途方に暮れるほど悩まされたのである。
苦肉の策で、「日本縦断民謡まつり」というポップスアレンジされたメドレーを
提案したら、その中のわりと原曲に近い形で編曲されている
「ドンパン節」と「金比羅船船」を、三味線弾いたり唄ったり踊ったりで
一緒にやってもらえることになったのである。

以下は市吹の活動日誌に書いたものである。
関係者以外にはわからない部分も多いだろうけれど、
悪戦苦闘の1日だった雰囲気だけはわかってもらえるだろう。
念のため書いておくと、このホールは一般の音楽ホールとは違って、
客席は格納式になっている。
1度だけ客席が出てくる様子を見たことがあるけれど、
電動で床板が出てきて、そこに段差ができ、椅子がバタバタと起き上がって客席ができる。
感嘆の声が挙がるほど壮観な眺めである。
また、「あの日聞いた歌」という曲は、かつての文部省唱歌(「赤とんぼ」とか
「浜辺の歌」などのような)を吹奏楽に編曲した曲で、
来月の定演でも演奏する予定の曲である。
「ハレルヤ」というのはヘンデルの曲そのままを編曲したものではなくて、
ゴスペル調にアレンジしたポップスレパートリーである。

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「どきどきはらはらコンサート」である。
実際の舞台がどうなるのか、なかなかイメージがつかめない。
そういう意味では、やっぱり「わくわくコンサート」なのかもしれない。

もしも合唱の声が聞こえなかったら、団員には客席の下に入ってもらおう、と決めていた。
あの客席の下の空間には、私も落としてしまった楽譜を拾いに入ったことがあるけれど、
なかなか心ときめく神秘の空間なので、皆にも気に入ってもらえるに違いない。
聞く人たちにもおもしろいかもしれない。
どこからともなく聞こえてくると思ったら、「地下」から聞こえてくるのだから。。。
尻がムズムズしてくるかもしれないけれど。。。

さて、合唱とのリハ。
予想したとおり、公民館の講堂の時よりは多少声がよく聞こえるので、
「翼を下さい」と「Tomorrow」はこれで良しとした。
「ハレルヤ」だけ、全部のリハが終わってから再び集まってもらって調整した。
今度はマイクも用意してくれたけど、ほとんど効果がないみたいだった。
団員に吹かない部分や弱音で吹く部分を少し増やしてもらって、
何とか声の効果も発揮できる程度にはなった。
その練習をしながら、ふと、「あの日聞いた歌」にしてもらえばよかったな、
と、今ごろ思いついたってしょうがないことまで思いつく。
やっぱり市吹をステージに乗せて、合唱を前にすべきだった、
でも、合唱が下ではいけないな、長机を並べて固定して布かぶせて、
その上に乗ってもらうか、、、名案だけど会館は反対するだろうな。。。
いらんことまであれこれ思いつくのは、それだけ悪戦苦闘してるからだけれど、
配置換えなんか今さらできることではないので、あきらめて、
さあ、問題は、「ハレルヤ」の最後の部分である。
吹奏楽ももうここではメロディーを外してもにぎやかにならざるをえないし、
声の方も、それをしのぐには限界がある。
歌詞はもう「ハレルヤ」しかないし、音符も同じことのくり返しになるので、
まずは、もうここでは楽譜を見ずに歌ってもらうようお願いした。
次に手拍子をお願いした。もう、パフォーマンスの要素を入れるしかない。
ひとりの小学生の激しい抵抗にあったけれど、一瞬ひるみながらも、お願いした。

もうひとつの民謡グループとのリハ。
「ドンパン節」が始まると、三味線が舞台の一番奥にいる上にマイクが弱いらしくて
三味線の音が聞こえにくい。
いつもそれを聞きながらやっていたので不安だし、バランスも悪いので、
三味線のマイクのボリュームを上げてもらうよう頼みに舞台に行ったら、
誰に頼めばいいかわからない、それらしい人がいない、
適当に舞台袖の男の人に頼んでみたら、音響と連絡をとってくれそうな様子だったけど、
客席にもどって聞いていても、なかなか改善される様子でない、
もう1度舞台に上がって、今度はマイクを三味線に近づけてみたりした。。。
こういうことをしながら走り回っている間も、5回のくり返しを指で数えておくことは
忘れない。歌詞をちょっとは覚えておくべきだったな、と今ごろ後悔する。
マイクの問題をのぞけば、「ドンパン節」は問題なく過ぎたので、先に進んだ。
ところが「木曾節」も過ぎ、フルートソロに入っても緞帳が開かない。
「金比羅船船」の前奏とともに上げるのかな、ベストだな、と思って、
その曲に入ったけれども、歌の部分が始まっても舞台は相変わらず緞帳に隠れている。
曲を止めて「開かなーい」と叫んだら、それだけでも爆笑になる。
きょうのリハは、いろいろと笑いが多い点では、楽しいと言えるかも。。。
黒幕が舞台に入ってからも、なかなか緞帳が上がらないので見に入ったら、
ちょうどスタッフが出払っていて、マイクの用意が間に合わなかったそうで、
戻ってきた担当のスタッフと打ち合わせをしているところだった。
どこでも、団体の幹部がスタッフを兼任しているので、
団体の世話もしなきゃならず、運営もしなきゃならず、たいへんである。
しかも、時間によってスタッフ交代制をとると、ますます難しくなる。
で、リハ再開。金比羅さまの唄は始まったけれど、声が聞こえにくい。
またボリュームを上げてもらうよう頼むべきかと思ったら、
今度はみなさんマイクから離れすぎである。
全部歌い終わってからにすべきかちょっと迷ったけれど、
リハ時間もだいぶ延長しているので途中で止めてしまった。
伴奏がなくなってもみなさん一生懸命唄ってみえるので、
やっぱり途中で止めたことを非常に後悔してしまった。
お年寄りには、たいていこういうひたむきなところがある。
こういうときは、絶対途中で止めてはいけないのである。
マイクにうんと近づいて歌うようお願いして、その唄だけやり直ししてリハを終えた。

昼休み中に、金比羅さまの唄をリハの時よりもゆっくり演奏すること、
もし、緞帳がなかなか上がらなかったら、その前で曲を止めて待つことなど、
要請があった。こういう不安材料を抱えたステージにもおもしろみがあるものだ。

本番では緞帳は「木曾節」の締めくくりの全合奏の時に上がったので、
最適のタイミングだったし、「金比羅船船」をかなりゆっくり振り始めても、
団員諸君は、ぴったりとそのテンポで弾いてくれた。実に優秀である。
「ドンパン節」の三味線は相変わらず聞こえにくくて困ったけれど、
まぁ、いいアンサンブルになったのではないかと思う。
苦肉の策のジョイントだったけれど、なかなかいい趣向だったんではないだろうか。
「金比羅船船」のファンが団員の若者たちの間に続出したようだし。。。
こういう企画を通じて、みんながもっと古典芸能に親しめることも、私の願いである。

心配の多かった合唱も、本番ではリハよりも声が伸びているように感じられた。
合唱があまり聞こえない不満を観客が抱いたら、
ああいうタイミングで拍手は来ないだろうから、まあ、
ぎりぎりでクリアというところだろうか。。。
それにしても、今ごろになって、「あの日聞いた歌」の修正案を、
早く思いつかなかったことが実に悔やまれる。。。。
ああいう歌は、ママさんコーラスは得意だろうし、
子どもたちは歌う機会が少なくなっているだろうし。。。

悪戦苦闘の1日が終わって、へっとへと。。。
でも、まぁ、快い疲れ、、、かな?
黒幕は、総指揮&苦情処理でさぞかし大変だっただろう。
中高生を集めたこういう行事でも、運営側が困るのは生徒相手よりも、
親やその身内などの大人相手の方に難儀するものだから、その大変さが察せられる。

さあ、定演まで、あと練習は6回。 集中、集中。



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