夕方、夕飯の買い物に出た帰りに、長良公園の外郭の道に車を停めて、 桜並木の下を少しだけ散歩した。ここの桜は大したことない。 公園の一辺に桜がズラ〜〜ッと並んではいるけれど、後はぽつんぽつんである。 その桜並木もまだ若いらしくて、痩せ細った感じである。 (何しろ岐阜大学移転の跡地に年月経て整備された公園だから、歴史は浅い) まだ低木なので、手を伸ばさなくてもつかめるくらいのところに花があるのだ。
桜は雲海風の遠景を見ても幻想的だが、近くで見ても幻想的だ。 個々の花が幻想的に見えるわけではない。 5枚の花びらの中心に海老茶色とでもいうべき雄しべの筋筋が見える、 その個々の花は、きわめて単純明快な花のかっこうをしている。 その個々の花が、そこかしこにぽつんぽつんと点在していたって、賛美されなかったはずである。 けれども、その個々の花が集まって球形を作りながら、乱れ咲くような光景を作る。 そこで、あの不可思議な花びらの色合いや、雄しべの濃い色が生きているのである。
その何ともいえぬ色彩感と点描的な味わいに目が眩むような思いをし、 静かなため息をつくばかりで、その感動がなかなか言葉にならないものである。 すでに、「生活」コーナーの最初に、かつての桜感がアップしてあるけれど、 それとダブらないように、きょうの発見を何とか言葉に表してみた。
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