TENSEI塵語

2002年04月05日(金) YOSHIKI が復活する?(2)

YOSHIKI がテレビ画面で話し始めたとき、その軽快な声と語り口に拍子抜けした。
もっとぼんやりした声で、物思わしげにぽつりぽつり話すような予感がしていたので。
でも、もしそうだったら、だんだんイライラしたかもしれない。
聞き手の問いかけに素直に反応しつつ、できるだけ忠実に答えようとする姿を見て、
かつて神秘的でしかなかった霧が晴れて行くように、安心感を抱いたのである。

そして、さっそく飛び出した話がこういう話だった。
「僕、曲作るのは早いんですよ。レコーディングは遅いんですよ」
ピアノを使うことはあるけれど、ほとんど楽器は使わないで、譜面だけで書く。
「古い体質っていうか、クラッシックから来てるんで・・」
・・やっぱりそうだったんだ!! 
書きながらイメージができている。レコーディングは妥協の作業みたいなもんで、
「こんなはずじゃない、こんなはずじゃなかった、みたいな・・」
わっっかるなぁ、この気持ち!! ・・・なんて、生意気なこと言っちゃいけない。
私が、編曲したものと実際に出てきたものとのギャップを感じるのと、
彼が感じるギャップとはレベルが違うのだから。。。

幼稚園時代からずっと馴染みだったToshi の脱退について、彼はこう言う。
「僕がいけなかった、と思ったんですよ」
レコーディングに際して、自分の中に理想の声とか音とかいうものがある。
かすれぐあいにまでイメージとか表情がある。
Toshi にもこうしたいというものがあったかもしれないのに、
こうじゃない、こうしてほしいと、強く彼に押しつけていた。
彼自身よりも彼の声について知っていたと思う。でも、
Toshi を道具のように扱っていたかもしれないと思う。。。

私は、X JAPAN の解散の理由を、メンバーの中に、
YOSHIKI の呪縛から解き放たれたい、
YOSHIKI なしでも自分の力だけでもやれる自分を証明したい、
と考える者が現れたためだと想像していた。
そして、その代表がToshi なんだろうと思っていた。
ところが、彼らは結局自分だけではX以上の音楽ができないことを思い知らされて、
やがてこのグループがが復活するに違いないと思っていたのだ。
(ところが、Hide が謎の自殺を遂げてしまって、復活の望みは断たれた)
Toshi の脱退についてのYOSHIKI の告白を聞いて、実に納得してしまった。
私の想像は、それほど細かくはなかったけれど、大筋では当たっていたわけだ。

演奏をまとめる立場にある者は、常にこのようなジレンマを抱えているのである。
全体としていい演奏にするために、やはりある程度のイメージを抱いている。
すると、それはそれでもいいけれど、こうした方がもっと生きる、という
欲が生じ、それを演奏者に強く要求することになる。
それは、その奏者の個性を損なうことになるかもしれないのに、
その奏者の主体性を軽視して、こちらの要求を受け入れてもらうことにもなる。
それは、時にたいへんつらい難題にもなるのである。。。  (つづく)


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