| 2002年07月07日(日) |
長野県知事不信任問題 |
知事不信任案が可決されるぞ、という予想の新聞記事を見ながらのことだったので、 一昨日の昼食時だったと思うけれど、職員室のソファのところで橋本さんと、 議会はこうだけれども、県民の意見がちっとも報道されなくて変だね、などと話していた。 県民が脱ダムを支持しているのに、議会が脱ダム故に知事を辞めさせるというのは、 どう考えてもおかしな成り行きだと思うのだが、県民の意向がわからない。 私が知らないだけで、橋本さんあたりはそういう報道に接しているかと思って 聞いてみたのだけれど、彼もまた、おかしいねぇ、を連発していた。 まぁ、要するに議員の利権を守るための醜悪な不信任案だとしか考えられない。 その夜の、不信任案可決の報道の時に、数人の県民の声を聞いていたけれど、 議会との意志の疎通を批判する声はあったけれど、知事支持の声の方が多かった。
10時はとっくに回っていたのだけれど、テレビをつけてみたら田中知事が出ていた。 今回の不信任決議について長野県民500人に調査してみたということで、 すごいヒット、そのまま見続けることにした。(サンデープロジェクトである) もうひとり出ていたのが、不信任案に賛成した浜康幸という県議で、 「不信任案支持は何%いると思うか」と尋ねられて、40%くらいはいるでしょう、 などと答えている。実に興味深いところである。 調査結果は、不信任案の支持は10数%、支持しないは6割台だった。 知事の支持率についても、支持するは6割台、不支持は1割台だった。
どこでもそうなんだろうけど、議会が民意を反映しない欠点がここにも表れた。 民意の反映という観点で議員を選んでないからこういうことが起こるのだが、 それは、国会議員から市町村議員まで、たいていのところに共通している。 だから、今後、知事と議員の同時選挙が行われた場合、 どちらも今までと同じ結果になったらどうしていくつもりなのかという 心配の声が生まれることにもなる。 日本人の選挙は、こういう場合に、知事に投票した人は不信任案賛成議員には投票しない というような、明快なものではないからである。 特に議員の方は、少数の得票数で決まってしまうから、 議員自身の意見がどうこうでなく、習慣や義理人情で投票する人が一部に固まれば、 県民の絶大な支持を得て当選したと見なされてしまう。 その代わり、もしも同時選挙に踏み切って、田中知事は支持され、 議会も知事の支持者多数に刷新されることになれば、革命的なできごとになるだろう。
以下は、番組で知ったことのメモである。
県議たちが1番こだわっているのは、下諏訪ダムの建設であって、 これだけはとにかく実現しないと大変危険であり、ダムを作る以外にないという。 その下諏訪ダムの必要性について、県全体の調査では必要が1割台、不要が4割台、 ところが地元住民に対する調査では、不要は6割以上にもなっている。 その川に身近な住民がそういう意見でいることを、司会者は力説して浜県議に迫った。 浜県議は、洪水の本当の恐ろしさを知っている10数%の人は必要といい、 そういうことをまだ知らない人たちは不要論を唱えているだけで、 これからさらに理解を求めていかなければ、と、理解されない正義の味方を演じていた。 けれども、昨年の調査委員会(名称を忘れた)の決議内容では、 ダムでしか安全を守れないと主張したのは4人の県議だけで、 1人の県議や5人の学者は、河川の補修や流域対策でよいと結論しているようだ。
さらに司会者は迫る。 最近の世界的な流れとしては、ダムよりも流域対策で解決していこうとしている。 長野県議会の考え方は古いんじゃないのか。 さらに、(邪推かも知れませんけどね、と断りながら)県議のうち14名は 土木関係の出身(数字はうろ覚え)ということから見ても、 そういうことから来る利益などを、当然われわれは考えてしまうのだが、、などとも。 また、今回知事が中止しようとした浅川ダムと下諏訪ダムの工事費用が640億円、 それを地元企業ではなくて、県外の大ゼネコンが8割方持っていってしまう。 それに対して浜県議は、古くても新しくても、利権の疑惑を持ち出されようと、 また大金が県外に流れようと、「県民の安全しか考えていない」と答える。 長良川河口堰の建設の時と同じ理屈、というか、脅し文句のようなものである。
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