TENSEI塵語

2002年08月11日(日) 「トリック」を見終えて

最後の最後まで、結末の杜撰なドラマだったと言うしかない。
最終話など、それでいったい何だったの? と残る疑問が多すぎる。
それでしゃあしゃあと満足げに幕を閉じてしまう。
視聴者に対する詐欺行為みたいなものである。
見終わった後、時間のムダだったかな、と感じさせるものがある、これではいけない。
けれども、見ている最中は、目を離せないのである。
それは、見破れそうにないような超能力を披露してくれるためでもあるが、
主人公2人のおもしろさのためでもある。

こういうシリーズドラマには、決まったセリフがあるとおもしろいが、
(たとえば、水戸黄門の「控えぃ、控えぃ、この紋所が目に入らぬか」とか、
 桃太郎侍の「桃から生まれた桃太郎、、」で始まる長ゼリフとか、
 木枯らし紋次郎の「あっしにはかかわりのねぇこっで」とか、、、)
このドラマでも、ヒロイン山田奈緒子(仲間由紀恵)の
「お前らがやってることはぜ〜んぶお見通しだー」というのがおもしろい。
共演の上田物理学者(阿部寛)の「僕もそうだと思ってたんだよ」というのも。。。
2人ともそう言いながら、その推理は失敗をくり返す。
それはほんの1例であって、この2人の会話についてはかなりよく書き込まれているのに
肝心のトリックについて入念でないのかが解せない。

仲間由紀恵は、ちょっと前に、やくざの親分の娘で教員をしている役柄のドラマを
3回ほど、たまたま見て、ややたどたどしく啖呵切って生徒達を説得するところや、
目のきれいなところがなかなか魅力的だな、と思っていた。
今回も、そういう魅力を見せてくれていて、注目すべきところに来ている。
けれども、菜々子さま〜、智ちゃ〜ん、というほどにインパクトがないのは、
ドラマ(脚本)全体の魅力にいまいち欠けるためだろうか。
脚本を生かすのも女優なら、逆に、女優を生かすのは脚本なのである。
作品の中で俳優が光り、俳優次第で作品も光るという相互作用なのだろう。


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