TENSEI塵語

2002年10月07日(月) 教育に莫大な金?

昨日から朝日新聞の一面に「競争加速」と題するシリーズが始まり、
今日のテーマは「階層差が学力差に?」というテーマである。
最初に、「高級家庭教師」が取り上げられている。
1回2時間で2〜3万円、週2回利用で月額約20万円という高給家庭教師である。
すでに月40万円を投じているケースもあるそうである。
そうでなくても、首都圏の私立の中高一貫校に入れるために、
小四から進学塾に通わせ、3年間で200万円はかかるのだそうである。
書道だとか、楽器だとか、絵画だとか、そういう学校教育では太刀打ちできない分野に
高額を投じるのはしょうがないと思うけれど。。。

こんな記事を書き立てられたら、ますます進学のための経済力競争が加熱し、
教育とは何か、子育てとは何か、大切なことが見失われて行きそうだ。
さっそくきょう、「高給家庭教師」についての問い合わせが殺到したのではないか。
愚かな親たちが一挙にまた量産されたのではないだろうか。

私もまた、受験生時代に、こういう話に惑わされ、不安に苛まれたひとりである。
私の受験生活は、ほとんどわずか1年間で、受験勉強を始める前は偏差値40だった。
それが、上智大学をめざして勉強している中で、ホントに受かるだろうか、
受かるわけないよなぁ、、と諦めがちになるのが、上記のような類の風評のためである。
小学校のころから鍛えられてきた英才教育の申し子たちも少なからず受けに来る、
とても太刀打ちできるわけがないじゃないか、とつい弱気になってしまったりした。
そんな中で持ちこたえるには、競争相手は外にいるのではない、と信じることだった。
敵は自分の中にしかいない、自分の中の怠惰と闘いさえすれば勝てる、
人よりもいい点を取ろうなんてせこい考えは捨てて、自分が正解を書くことだ。。。
それで、結局東大とまでは行かなかったし、そんな目標を立てはしなかったけど、
とにかく上智大文学部には受かったのである。
入ってから、私と同じように高三まで好き勝手に遊び呆けていたような者は、
なかなか見出すことはできなかった。

私の場合はさんざん遊び呆けていて、勉強大っっ嫌いだったのだが、
中学時代の同級生で、順調に県内最上位の公立高校から東大へ入った連中を見ても、
塾・家庭教師漬けでがんじがらめになっていたわけではない。
適度に我々のような怠け者とつき合いながら、生徒会や部活もやりながら、
合間にこつこつとやるべきことをやって当然のように入っていったものである。
大切なのは、自分が自分のやれることをやるということで、他に惑わされないことだ。

昔と今は違うよ、なんてことをよく言われるのだが、その原理は同じである。
ただ、昔よりもさらに塾・家庭教師の幻想が加熱しているだけのことである。
昔も今も、それに惑わされる大人が多いものだから、不幸な子どもが増えるのである。
そうしてますます幻想が膨らみ、妙な受験産業も産まれ、競争を煽る仕組みになる。

さて、「高級家庭教師」なるものを、全面的に否定しようという気持ちはないのである。
ひとつには、本当に有能な人であれば、きっかけに利用してもいいだろう。
けれども、長年に渡って大枚をはたくなんてことはムダである。
勉強は楽しい、というきっかけさえ作ってもらえば、あとは必要ないのである。
その人なしには勉強などしないような〈優等生〉を育てて、何になるのだろうか?
言われたことだけをこなしてテストだけできる〈優等生〉などいらないのである。
本当の優等生を育てるには、きっかけだけで十分なはずである。
またもうひとつには、〈優等生〉でなく、わかりたいと思っているのに、
学校の勉強にはぜんぜんついていけない不幸な子のためには利用してもいいだろう。
むしろ、いわゆるわかりたがっている〈劣等生〉のために活躍してほしいものである。
そんな子どもは極少数派だろうけれども。。。


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