一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その29
高度成長のおり、人手不足は職人さんまでおよび、見習いさんはいっぱいいるけど、
そこそこ、五年以上の手に職を付けてると言うか、いちよう、ひと通りの事が出来る
職人さんが少なくて、どこのお店でも、引っ張りだこでしたね、当時のグリル一平も
五、六年、勤めてるコックさんが、いつの間にかよその店に、ひっこ抜かれる事が
たたありましたね。スナックのママさんが最近よくカウンターで見かけるなーと、思っ
たら、中の職人さんと仲良くなって、一月ぐらいすると、急に店を辞めたいと言いだし
次の日には、そのスナックの調理場でオードブルを作ってる、姿が見れましたよ・・・
だいたい、手口としては、ママさんが店の可愛いスタッフを一平に連れて来るんです・・・。
その、可愛いスタッフに、お目当てのコックさんと友達になるように通います、そして、
今度は店に一度飲みに来るように誘います・・・。一度そのスナックに行ったら、また、
必ず同じ店に行きます、そして言葉巧みに、店を助けて欲しいと言って、オードブルを
作るスタッフいない!腕のいい職人さんが欲しい!と、悩みを相談するんですね・・・
職人さんて、意外と正義感あって、助けて上げようとするんですね・・・。
そうして、何人ものいい腕の職人さんが辞めていったことか・・・。
我が尊敬するチーフが次に日、ニコニコしながら言うんです、
「やけどさした、あの店にいったよ、ちょうど忙しくしてたから、手伝ってあげたら えっらい喜んでくれて!ビールもご馳走になって・・・。」
また次の日に
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