一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その31
チーフが時々あの女将さんの店を手伝う事になって、ひと月ぐらい経ったころ、
オルテガさんの事務所に配達に行ったとき、オルテガさんが私に・・・
「なんで、あのチーフは、あの女将の店にいるんや?」
「お客でいくのはいいけど、調理場で働いてるのは、どうなんや!?」
「一平のおやじは知ってんのか?」
私が、あんまり返事をしないので、オルテガさんが怒りだした。
「あの女将は、一平のチーフってことを分かってて使ってるのか?」 「おかしいやないか、洋食屋のチーフが小料理屋で働いとるって!変やろ」
どーも、オルテガさんは、納得しがたく、義理人情の世界では通用しないらし。
そんなこんなで、チーフが女将の店で手伝ってる事が、一平のおやじさんの耳に入るのは
時間の問題でした。私が出前の皿下げから帰ったら、チーフとおやじさんがテーブルに
座ってなにやら話し込んでいた・・・私は下げてきた皿を洗いながら二人の話に耳を傾け
てたら、お互い段々、感情的になったのか、おやじさんが・・・
「手伝うなら店を辞めてから行ってくれ!」
売り言葉に買い言葉!チーフが・・・
「わかりました!やめます!」と、・・・・・(えええええ!あかんがな!あかん!あかん!)
また・・・次の日・・・
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