一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年10月11日(土) その34


その34


チーフが黙って下を見ていた・・・すると、女将さんが喋りだした。

「私はこの人と、所帯をもつ、つもりです、親分が心配するようなことは決して・・・。」

オルテガさんがカウンターから身を乗り出して二人に、

「あんたらが所帯を持とうが夫婦になろうが、しったこっちゃないんだよ!」

「尼崎で商売する気なら、ちゃんと筋道を通さなきゃいけねってことだよ!」

「チーフ!わかるだろう・・・あんたも一人で一人前のチーフになったんじゃねーだろ!」

「うぬぼれるんじゃないよ!どんな名医だって患者がいるからだろ!」

「どんな腕のいい職人でも、お客さんが来てくれるからだろ!店があるからだろ!」

「料理の事はわからんが、感謝のない料理は、そんな店は、長続きしねえよ!」

オルテガさんは、カウンターにポンと、お金を置いて、そのまま店を出ていった・・・。

翌朝・・・私がいつものように、器をさげに回ってたら、ちょうど昨夜の、女将さんの

店に来たとき、ガラガラと店の戸が開いた、チーフと女将さんが出てきた・・・。

二人は、手に大きなバッグを持って、どこかに行くみたいだった・・・。

チーフが私を見つけ、呼び止めた、

「お願いがあるんだけど・・・」


            またこの次          


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