一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年10月14日(火) その35



その35

「親分に、いろいろご心配お掛けしました、って、」言っといてくれないか。

女将さんの、Gパン姿はその時、初めてで、私の顔をみて・・・。

「しっかり修行して、この人のように、立派なコックさんになってね!」

今でも不思議なのは、あの時、私は「ハイ!」と、言ったような気がする。

尊敬するチーフが、この人の為に居なくなると、思ってたはず、なのに・・・。

「この人のように・・・」と、言った言葉に、私は共感したに違いありません。

早朝の静まりかえった飲み屋街の中を、駅の方へ向かって二人は歩き始めました。

女将さんを見るチーフの横顔が、グリル一平で働いてる時のあの、さわやかな横顔

でした。二人の後姿を見てたら・・・もし、あの車海老のフライが跳ねなかったら・・・

もし、女将さんのカウンターに座る場所が違ってたら・・・と、いろいろ考えました。

そうそうに皿を下げて店に帰る途中・・・。何度も・・・。

「チーフ、がんばれ!チーフ、頑張れ!いろいろ教えてもらい有難うございました。」


        また・・・この次・・・!
   



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