一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
その42
それからというもの、大将は人が変わったようにトレーニングをした。
43号線沿いの排気ガスでいっぱいの、このジムがいままでと違った
雰囲気になった、ピーンと、張り詰めた空気でした、いちばん奥の
いつもの場所で、汗をビッショリ掻いて大将は頑張った、みんな
頑張った、普段あまり練習もせず、世間ばなしをして帰る連中も
大将にあおられてか、鏡の前でポーズをとっては筋肉をピクピク!
とにかく、みんな頑張った、一人ひとりが心の中で大将にエールを送った。
そんなある日、店に、大将から電話があった、
「赤い焼きそばを、二つジムに持ってきてくれへんか!」
初めてだった、ジムに配達するのが・・・。
「はい!わかりました!大将?まだ練習してるんですか?」
「やってるで!もう終わるけど!・・・」
この時間になると43号線も車が少なくなった、暗い国道沿いの中で
そこだけが灯りが漏れて、中を覗くと、大将ともう一人いた・・・。
「まいどー!一平です!赤い焼きそば持ってきましたー!」
その、もう一人の車椅子の人がこっちを振り向き、
「こんな、遅くにわるかったなー、このジムに通ってるんだって?」
「あ、あはい!」・・・・・・(大将にそっくり!・・・えええまさか!」
また次の日
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