一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
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その44
「全日本ボディービル大会」もあと、ひと月ぐらいにに迫った、たしか六月のある日、
大将が店に来て、しばらくジムは休むとだけ告げて、帰っていきました。
近くの寿司屋で配達してる、肥満体のジム仲間が、仕事終わって店に来て、
「知ってる?大将のお父さんが亡くなったんやて!」
「何か脳梗塞で車椅子になったんだけど、医者が言うにはもう半年の命だったらしいで・・・。」
「どうする?お通夜に行く?」
肥満体のジム仲間が言うだけ言って、私に尋ねたけど・・・、
「ええ!あのお父さんが亡くなったの」・・・・・・(突然で何か信じられなくて・・・)
「大将は大丈夫?家はどこか知ってる?今から行こうか!」
肥満体君は大体わかるって言うので、すぐに大将の家に向かった、
公園の近くで、家の表に、確かダンベルが置いてあったのを憶えています。
もう!ジムのみんなは来ていて、大将の傍で心配そうに見守っていたのを憶えています。
大将は、ずーっと、お父さんの傍に付っきりで、焼香に来る人に深く頭お下げていました。
大将が・・・。
「みんな、悪いけど、お通夜の最後まで残っててくれないか?」
「あ、はい!」
またこの次
「
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