脱力 - 2001年05月15日(火) なんだろう、この感覚。 腑抜け? 虚脱? 呆然? 脱力? lethargy? apathy? ー患者さんのカルテみたい。 さっき電話があった。 helloっての、ほんとに素敵に言えるようになったよね。 なんか、男っぽくて色っぽいよ。 日本語より英語の方が似合ってんじゃない? 英語の声、素敵だよ、とっても。 優しいね。なんでそんなに優しいの? 優しいね。優しいね。 そんなに優しくしてくれたら、わたしどこにも行けないよ。 もう日本に帰っちゃうんだね。 なんだったんだろうね。 3時間しか時差のないところにいてくれた。 それがなんだったんだろうね。 なに子どもじみたこと考えてたんだろうね。 関係ないよね。 どこにいたっておんなじだよね。 ・・・やっぱり少し違うかな? 声が近い分だけ。 いっぱいいっぱい愛情感じたよ。 ほら、日本のテレビのコマーシャルにあったじゃない。 天使が赤ちゃんのお尻にキスしたら そこから花びらがひらひらいっぱい飛び散るの。 違ったっけ? なかったっけ、そういうの? わかんない? じゃあさ、ティンカーベルが飛ぶと、あとにキラ〜ンって星くずみたいのがいっぱい残るじゃない? それならわかる? そんな愛情いっぱい感じた。 傷口に天使がキスしてくれて花びらがふわ〜っといっぱいそこに広がって、すうっと痛みが引いてくの。 ティンカーベルが飛んで、傷だらけの体に星くずのコーティングをしてくれて、冷たい空気から守られて傷が癒えていくの。 やっぱりあなたは天使だよね。 だってね、あなたはいつだって、あの娘を抱っこしたときみたいにわたしを痛みから解き放してくれる。 傷だらけにしているのは自分自身。 傷ついて泣いて駄々こねて拗ねてイジワル言ってわがまま言って、 勝手に苦しんでるのはわたし。 声聞けない間に、ひとりでもがいてもがいて不安に苦しんでる。 傷つけられた、なんてひとりで自分を打ちのめしてる。 ひとりで自分を痛めつけてる。 ひとり相撲? ひとり芝居? なんていうの、そういうの? あなたはどんなわたしも受け入れてくれて、 魔法みたいに救ってくれる。 ずっとずっとそうだった。 さっきの電話もそうだった。 だけど、 この感覚は、なに? あの娘が死んじゃって、やっとやっとその事実を受け止めたときとおんなじ。 体が鉛みたいに重たくて、なのに頭は宙に浮いてるみたいにふわふわしてて、力が抜けて、うつろで、中途半端で、だるくて、こころが遠いとこを彷徨ってるような・・・。 ああ、いっちゃったんだ。もう帰ってこないんだ。ーって。 なんだろうね。 何なんだろう、これ。 なんで? どこにいたっておんなじ。 あなたは遠い。 ほかの人のものになる。 独り占めになんかできない。 それがやっとわかったのかなあ・・・。 -
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