対等じゃない - 2001年05月23日(水) 「最近だんなから電話あった?」 「うん。2,3日前かな、かかってきた。」 「どんなこと話したの? なんか特別なこと言ってた?」 「ううん。別にふつうの話。」 「最近よくかかってくるの? 週に何回くらい話すの?」 「週に一回も話さないよ。その前は2週間くらい前だったし。」 「淋しい? 電話なかったら。」 「ううん。全然。」 「ねえ、聞いていい? こないだからデートしてるじゃん。ふたりだっけ? それ以外にも誰かとデートした?」 「ううん、しないよ。」 「そのふたりってさあ、タイプ似てる? 違うタイプ?」 「似てないよ。なんで?」 「だって、気になるもん。Hしてるって思ったらイヤだし。」 「イヤなの?」 「そりゃあ、イヤだよ。きみだって、僕が彼女とHしてるとこ考えたらイヤだろ?」 おとといの電話で珍しくそんなこと言ってた。 夫から電話があったのは、ボストンに行く前の晩だったっけ。体調がずっとよくないみたいだ。「やっぱりお薬始めたほうがいいよ。今ね、日本にもこっちで使ってるいいやつ入ってるんだよ。病院行ったの? 先生と相談してごらんよ」。そう言って薬の名前を教えたけど、うわの空みたいだった。「まだ決心がつかないよ。今精神的にも参ってるし」。詳しいことは何も言わなかったし、わたしも聞かなかった。 「きみは毎日どうしてるの? インターン終わったの?」 「うん・・・。終わった。」 「国家試験があるんでしょ?」 「そう。でも全然勉強もしてない。ぼうーっとしてる。『一週間のうた』みたいだよ。知ってる?『月曜日は市場に出かけ〜、糸と針を買ってきた〜』っての。」 「あはは。知ってる。月曜日はそれだけで、火曜日にまたちょっとするんだろ?」 「そ。で、しょーもないことするのに一週間かかってんの。」 「相変わらずおもしろいよねえ、きみは。」 「『明日できることは明日しよう』だしさ。」 「ははは。『今日できることは明日に延ばすな』じゃなくて?」 久しぶりに夫と笑って話した。だからって、気持ちが戻ってるっていうんじゃない。精神的に何に参ってるのか聞こうとしないし、話さなきゃいけないはずのことは延ばし延ばしにしたまんま。病気のことだけはずっと心配だけど。 わたしは結婚してて、あの人は彼女ともうすぐ結婚する。だけどちっとも対等なんかじゃない。夫と別居して一年になろうとしてるわたしと、これから結婚して彼女と長い生涯の幸せを築こうとしているあの人。夫との溝が埋まらないままのわたしと、彼女との絆がどんどん強くなっていくあの人。夫との将来を考えたとしても何の発展も見い出せないわたしと、「奥さん」になる彼女と可愛い子どもを育てる近い将来の風景を描いてるあの人。幸せじゃないわたしと、幸せなあの人。あの人だけが大好きなわたしと、・・・そうじゃないあの人。 デートの話なんか嘘。わたしのバカげた作り話。わたしが誰かに抱かれてること考えて嫉妬なんかする必要ないんだよ。でも、あなたが彼女を抱くのは現実。 声が聞きたくてもわたしからは電話も出来なくて、何ひとつ対等じゃないよね。 なんか・・・不公平・・・じゃない? -
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