天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

結婚記念日 - 2001年06月08日(金)

「ねえ、だんなとはどうなってるの? どうするの?」
「そこに来ないの? また一緒に住まないの?」

あの人が今日はやたらと夫とのことを聞いた。コンピューターの調子が悪くなった時に電話して以来、夫とは話をしていない。忙しいらしくてなんとなく機嫌が悪そうだった夫に、仕事中に何度も電話したお詫びと助けてもらったお礼をメールした。なくなった住所録のファイルと同じものを彼も持っているはずだから、送ってくれるようにもお願いしたけど、「探しておきます」って一言だけの返事が来たっきり。結局住所録は送られて来ないし、電話もかかってこない。

「なんでそんなにしつこく聞くの?」
「ん? ・・・なんか、いいのかなと思って。・・・こういうの続けてて。」
「・・・。」
「ま、いいか。割り切ればいいんだ。友だちって。こういう電話してるけど、きみのこと好きだけど、バレないようにするのもおんなじだけどさ、うん、友だちってことにすればいいんだ。心配しないでよ、今までと変わらないんだからね。」

ひとりで納得してたけど、なんだかよくわからない。そのあとまた聞いた。
「でも、どうするの?」

どうしたらいいか、わかんないの。だけど、アノヒトと元に戻るしかないのかなあってちょっと思ってる。もし誰かのこと好きになったとしても、その人とどうなるかなんてわかんないし、また苦しむかもしれないじゃない? わたしね、もう苦しいのはいや。それにもう好きな人なんて出来ないかもしれないし。ほんとはアノヒトとはもう、幸せになんかなれないってわかってる。ちゃんと離婚したいのがほんとかもしれない。でもね、離婚って、すごく辛いから。自分から離婚したのに、ものすごく辛かったから。あんな辛いのももういやなの。そしたら、アノヒトと元に戻ってまた一緒に暮らすのが一番ラクかなって。

「ちょっと待って、ちょっと待って。ちゃんと座り直して聞くよ。身の上相談だから。」
途中でそうやって茶化す。うん、うん、って返事をしながら、時々黙ってる。聞き終えるとまた少し黙ってから、「そうか。どうしたらいいのかわかんないんだ。」って言った。そしてもうそれ以上何も聞かなかった。よくわからない。自分が話してることも、よくわからなかった。ものすごくずるくてイヤな女だとは思った。

「あなたが結婚したら・・・」。何度かそう言って、次の言葉を呑み込んだ。あの人はわたしの言葉を繰り返して続きを促したけど、言えなかった。


あなたが結婚するとき、わたしは絶対ひとりでなんていられない。その日のことを想像すると、死んでしまいたい自分が見える。結婚してからだって、きっともっとひとりでなんかいられない。ひとりでどうやって耐えていける? 誰かのそばにいて、にせものの幸せにしがみついて、自分をごまかしているしかないよ。

そんなことして「誰か」を裏切るのは平気なの? 「誰か」が夫なのは本当にラクなの? 夫だって、もうわたしを愛してなんかいないかもしれない。元に戻るなんて考えてないかもしれない。答えが見つからない。わかってるのはひとつ。これ以上、苦しいことも辛いことも、いやだ。


今日は、結婚記念日。
どうすればいいの? 覚えてないふりするの? ずっと気になってたくせに。もう、自分の気持ちに全然説明がつかない。








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