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心配 - 2001年07月06日(金) 明け方の4時半ごろに電話が鳴った。 「もしもし」。なんだかちょっと深刻そうな声だった。 「どうしたの?」。約束の日じゃないのに。それにこんな時間。 「今日早く仕事終わったから。これからもう一つの方に行くんだけど、ちょっと時間あるからかけた。」 「びっくりしたー。」 「心配した。ずっと心配してた。」 「・・・。メールしなかったから?」 「そう。もう電話取ってくれなかったらどうしようと思って、待てなかった。ごめん、こんな時間にかけて。」 「ほんと? 心配したの?」。だってメールにちっともそんなそぶり見せてなかったじゃない。 「したよー、めちゃくちゃ。知らないだろ、僕がきみのこといつもどんなに心配してるか。」 「メール見たの?」 「ううん。送ってくれたの?」 「うん。さっき」。それでかけてきたのかと思った。 心配させようとしたくせに、心配させちゃって悪かったって思ってしまった。 それで、胸になんか甘酸っぱいものが広がった。でも「成功」なんてもちょっと思った。 「ごめんね。意地悪したの。心配させてやろうって思って。」 「・・・。ずっと胸がキリキリ痛かったよ。もう心配させないでよ。ね。」 安心したのか、声が変わって、いつものおしゃべりを始めた。 つられてそれに応えてた。 A.I. 観たよ。 うそー。観たいって言ってたから一緒の日に観ようと思って待ってたのにぃ。 えー観ちゃったよー。じゃあさ、クロコダイル・ダンディ、一緒に観ようよ。なんかああいう楽しいだけのヤツ観たくなった。 もう終わっちゃったよ、こっち。 そーか。そうだろうな。今こっちでやってるもん。ソードフィッシュももうやってる? やってるよ。 いいなあ。観たい。 日本はいつやるの? 秋なんだよ、それが。 なーんだ。じゃあ先観ちゃお。 ムカつくー。言わないでよ、ストーリー。 教えてあげるよ、全部。あとさあ、ジュリア・ロバーツの新しいの今月やるんだよ。嬉しー。 なんていうの? なんだっけ? アメリカンなんとか。忘れた。 A.I. は同時公開だったから、せっかく「一緒に」観られると思ったのにな。ジュリア・ロバーツは「America's Sweethearts」だった。邦題、別のになるのかな。 いっぱいおしゃべりしたのに、朝仕事に行く前にまたかけてくれた。少しだけ話して、「夜、帰って来たらまたかけてもいい?」って言った。言ったあとで「めちゃくちゃ疲れてたら、かけないかもしれないけど」なんて言う。「だめだよ。期待して待っちゃうじゃん」「期待しないで待ってて」。だめだって。期待して待っちゃうんだから。 切る前に「メールちょうだい」って甘えた声で言ってた。 だからたくさんメールした。心配させたお詫びに昨日撮った写真も送った。「ごめんね」のEカードも入れて、全部で5通も送った。メールしなかった2日の穴埋め。すっかり元のわたしにもどってる。でもまたちょっとだけ意地悪した。 「帰って来たら電話してね。してくれなかったら、メッセンジャーの彼に会いに行く!」 「心配させようとわたしに思わせたお詫びに、愛情いっぱいのメールちょうだい。くれなかったら、メッセンジャーの彼に会いに行く!」 当分使えそう。また心配する? そんなことないよね。 だけど、何を心配したのか、聞くの忘れちゃったじゃない。 ・・・何をそんなに心配したの? -
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