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「死ぬまで」 - 2001年08月27日(月) 昨日、夜まで待てなくて、また掟破りの電話をかけた。あの人の夜中。 「・・・今、忙しい?」 「忙しいよ。曲作ってた。どうしたの?」 「・・・。」 「淋しかったの?」 「うん。」 「淋しがりんぼ!」 「へへ。」 「どうだった?」 「うん?」 「ヤッちゃわなかった?」 「うん。」 「ほんと?」 「うん。」 「どこ行ったの? 最初から順番に言ってごらん。」 「ごはん食べに行って、バーに2軒行って、帰って来た。」 「どうやって帰ったの?」 「車。自分の車運転して。」 「一緒に帰って来たってんじゃないだろうな?」 「ちがうちがう。その人、ねこアレルギーなの。だからうちには絶対来れないの。」 「じゃあ、相手のうちに一緒に帰ったとか。」 「ううん。・・・ちゃんと帰って来た。」 「何時に帰ったの?」 「えへへ。ちょっと遅かった。」 「ほんとにヤッてない?」 「うん。」 「正直に言いなよ?」 「ヤッてない。」 「信じるよ?」 「うん。」 「もしきみがうそついてたら、僕が信じてることがきみはもっと辛いんだよ。」 「うん。」 でもほんとのことを言ったら、あなたがうんと辛いじゃない。 「曲、聴かせてあげようか? まだリズムだけだけど。聴きたい?」 「聴きたい。」 不思議で素敵で新鮮で、胸がときめく音が聞こえる。大好きな大好きな時間。 「アメリカに持ってくやつだよ。」 それから、「ねえ、聞きたいことがある。聞いてもいい?」ってあの人は続けた。 「僕には彼女がいるのに勝手だと思うけど、きみが誰かとエッチするのはいやだよ。いやだ。だけど、もしも旦那と元に戻ったり、誰かを好きになってヤッちゃったりしても、僕のこと好き?」 「好きよ。一番好きだよ。」 「僕のこと忘れない?」 「忘れるなんて、そんなことあるわけないじゃん。」 「ほんと?」 「ほんと。絶対ほんと。だって、あなたは特別なんだよ。」 「よかった。」 「あなたは? あたしのこと、嫌いにならない?」 「ヤッちゃっても嫌いにならないよ。」 「ずっと好き?」 「ずっと好き。」 「結婚しても?」 「うん、ずっと。」 「いつまで?」 「死ぬまで。うわ、めちゃ恥ずかしいよ。顔赤くなってる。」 あの人は照れてちょっと笑う。わたしは嬉しくて泣きそうになる。 「ほんとに?」 「ほんとに。」 まるで、わかってて言ってるみたいだった。だって上手にうそなんかつけないよ。苦しかった。でも絶対言わない。言わない。言っちゃいけない。 それは、とてもとても普通のことだった。おなかがすいたら冷蔵庫を開けて、りんごを手に取って囓るみたいな。でもりんごが食べたくなかったら、おなかすいてても食べない。もっと普通だったかもしれない。朝起きたら、おなかがすいてなくても好きなシリアルをボールにあけて、冷蔵庫からミルクを出してかけて食べるみたいに。わたし、好きになってくのかな、ハンサムドクターのこと。こんなふうに自然のままに。 それでもあなたが好き。こんな愛し方はあなただけ。ずっと、ずっと、ずっと、変わらない。ずっと、ずっと、ずっと、わたしは天使を愛し続ける。天使を愛する愛し方で。あなたが、死ぬまで彼女のことも愛していても。 ハンサムドクターを好きになったら、少しは楽になれるのかな・・・。 -
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