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助けて、天使 - 2001年09月24日(月) 今日は一日ドクターに会えなかった。土曜日も昨日も声も聞けないで、今日やっと顔が見られると思ってたのに。お昼休みにペイジしても、帰るときにペイジしても、電話もかかって来なかった。 どうしたんだろ? いろんなことが頭をよぎった。疲れすぎてぶっ倒れちゃったの? ふらふらになってて事故に遭った? 誰かに不幸があって突然どこかに行ったの? 休暇の予定が急に早まって旅行に行っちゃったの? ・・・誰かのことを好きになってわたしの顔が見たくなくなった? 心配で心配で、帰り道中泣きそうだった。 帰ってからあの人に電話した。昨日時間を間違えたから、また間違えたかもしれないって思ったけど、あの人はまだちゃんと寝てた。いつもより眠たそうな声。いつもよりろれつが回ってない。なのにいつもよりおしゃべりだから、何言ってんだかさっぱりわからない。大笑いした。今日新聞に載るだとか、せっかくビルを作ってもテロに壊されるから意味がないだとか、わからない。「何言ってんの? わけわかんないよ」「僕は寝ぼけてるし、きみはバカだしな」。寝ぼけてるのは分かってるんだ。寝ぼけててもキスしてくれる。最近はわたしのお返しを待ってる。「10回して」とか「あと5回」とか、自分がした数よりたくさん要求する。「今のは鼻息が混ざってたからやり直し」。吹き出したら「今のグッてのは何さ。罰としてもう一回」。笑って話せるのが嬉しかった。 またドクターに電話する。やっぱりいなくて留守電にメッセージを入れる。「どうしてるの? 元気でいるの? 心配だよ。電話して」。待っても待ってもかかって来ない。初めてデートしたあの日から、ちょうど1ヶ月経ってた。もしかしたら1ヶ月の間違いだったのかなと思った。10ヶ月じゃなくて・・・。初めからドクターは1ヶ月って決めてて、それでもう電話さえしてくれないんだ。それならそれでもいいや。しょうがないよ。「騙されちゃった」って笑い飛ばそ。それであの人に笑いながら話してあげよ。「ヤッちゃった」部分は全部省略して。また強がってそんなこと考えてた。そして、もう一回だけって思って、電話のリダイヤルボタンを押した。 「Hello?」 いた。もうそれだけで胸がいっぱいになった。いっぱいになった何かが今度はどこかに流れ出して、からだがヘナヘナになりそうだった。「どうしてたの?」。それだけ言うのが精一杯だった。昨日もまた、オーバーナイト明けてからもうひとつの病院で仕事だったって言う。今やっと帰って来て、メールしようと思ってたとこだよって。すっごく疲れた声だったけど、いつもと変わってなかった。 「よかったー。声聞けて。心配したんだからー。すっごい心配したんだよ。」 思いっきり元気いい声でわたしは言う。 「僕は大丈夫だって。何があったと思ったのさ?」 「それがわかんないから、心配したんじゃない」 真面目に言ったのに、ドクターは笑う。 「今日も仕事だった?」「そうだよ」「一度も会わなかったじゃん」「あそこじゃないもん。もうひとつの方」。そして、続けた。 「もうあそこの病院はおしまいだよ。昨日が最後だった。」 「・・・。うそ。そうなの? 聞いてないよ。知らなかった。」 「これからもうひとつの方で、夜はER。昼はクリニック。ER はブレイクもないしさ、もう大変だよ」。 ほんとに知らなかった。まだ休暇の前までは一緒に仕事出来ると思ってた。 「聞いてないよー。なんで言ってくれなかったの?」 「言ったじゃん。あそこは1ヶ月だけだって」。 少し話して、切った。切る前に、「明日クリニックと ER の間に電話出来たらするよ」って言った。それからいつもの優しい声で「おやすみ」って言ってくれた。 よかった。いつものドクターだった。だけど、ほんとに知らなかった。ちゃんと日にちまで聞いてなかった。最後の日が知らない間に過ぎちゃったなんて。嬉しかったのと淋しいのとで、また胸がいっぱいになって、それに、体の心配が加わった。 話せてほんとに嬉しかった。 3日間ずっと、ほんとに心配して、ほんとに淋しかった。 今日は特別淋しかった。 わたし、もうわかった。あなたのことほんとに好きなんだって。 「ほんとに」ばっかだね。でもほんとにそうなの。 あっちの病院、ER もほかのことも頑張ってね。女の子のこと以外だよ。 でも頑張り過ぎないでね。患者さんだけじゃなくて、自分の体もケアするんだよ。 それから、わたしと「keep in touch」しててね。ホントの touch も、ね。 p.s. 会えなくてまだ淋しいよ。 いつもあの人に送ってたみたいに、Eカードを送った。 わたし、好きって書いちゃった。言葉で書いちゃった。いっぱい想いを伝えちゃった。 天使の微笑みが頭から離れないよ。あの人に手を伸ばしたい。 どうしよう? -
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