![]() |
明日、怖い - 2001年10月23日(火) 怖い。明日は病院の監査の日。ここ2週間くらい、ずっと病院内は緊張してた。わたしもこのところずっと遅くまで残って、メディカルレコードをチェックした。不備がないかどうか。ある。あった。いっぱいあった。3日おきに診なくちゃいけないはずの患者さんを、飛ばしてる。でも、もうどうしようもない。きっと追求される。インタビューもある。評価される。ちゃんと答えられなかったらどうしよう。自分の専門以外わかんないよ。わたしの評価じゃなくて、病棟の評価になるのに。それから病院の評価になるのに。 今日も8時まで残ってて、あの人にモーニングコール出来なかった。「忙しかったら出来なくてもいいよ」って言ってくれてたけど、ちゃんと起きたのかなって心配した。 うちに帰ってからかけたけど、おかけになった国に国際通話が繋がりませんでした、なんてテープの声。もうどっちにしても仕事に行っちゃっただろうな、ってあきらめる。 昨日ドクターがまた電話くれた。ほんとならあの人がかけてくれるはずの時間だった。あの人はお休みで、予定より遅くまで寝てて、待ってたけどなかなかかかってこなかった。やっぱりドクターは、こうやって時々あの人と電話で話す時間にかけてくれてるんだ。 今日もかけてくれた。監査の心配してるの知ってるから。「大丈夫だよ、きみはちゃんと出来る」って、励ましてくれる。何度も言ってくれる。甘い言葉なんかくれないくせに、こういうときにはふにゃふにゃになりそうなくらい、優しい声を聞かせてくれる。一緒に仕事してたときのことを思い出す。いつもそばで支えになってくれてた人。守られてるみたいに、安心して仕事が出来たあの日々。また一緒に仕事したいと思った。 「今日は早く寝なよ」って言った。初めて仕事に行く前の晩、あの人がおんなじこと言ってくれた。おんなじような声だった。なんでもない言葉なのに、ちゃんと伝わるなんでもなくないこころ。 もっと声を聞いていたかった。 もっと声を聞いていたかった。 「大丈夫だからね。わかった?」「早くおやすみよ。わかった?」。 わたしの大好きなドクターの「Okay?」。 あなたの電話のキスほどに優しいよ。 あなたの声も聞きたかったよ。 ああ、やっぱり怖い。 消えてなくなりたいくらい。 -
|
![]() |
![]() |