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許して欲しい - 2001年10月30日(火) 明日電話してって言ったくせに、ドクターはかけてもいなかった。何度かけても、いなかった。メッセージを入れたけど、かけてくれなかった。 もう、ほんとにおしまいなんだ。 信じられないよ。昨日会う前に病院から電話したときも、アパートに着いたときも、 あんなに優しかったのに。いつものドクターだったのに。幸せだったのに。 昨日の一日が無くなればいい。 ううん。泣かなきゃよかったんだ。 ううん。「泣かないで」って言われたときに、 いつものわたしみたいにちゃんと笑えばよかったんだ。 ううん。ちゃんと笑っておしゃべりしたのに、 あげたハロウィーンのカードを破らなきゃよかったんだ。 ううん。言いたいこと聞かせてって言われたときに、 全部言えばよかったんだ。 ううん。・・・。 だめだよ。もう遅いよ。戻れないよ。戻りたいよ。戻りたい。 もう、泣かないから、 ちゃんとずっと明るいわたしでいるから、 もう、好きになり過ぎないから、 全部話すから、 今までのこと、みんな謝るから、 もとのドクターに戻って。 戻って。 戻って。 戻って。 昨日、うちに帰ってあの人に電話した。いないことわかってたけど、「お願いだから電話ちょうだい」ってメッセージ入れた。あの人はかけてくれた。 「どうしたの? 何かあった?」 「怒らないで聞いて。」 「うん。何?」 「あたし、ドクターにふられちゃった。」 あの人は少し笑った。わたしも笑った。泣きながら笑った。 「嬉しいんでしょ。」 「ちょっとね。」 「好きだよ。僕がよしよししたげる。」 もう平気になれると思った。あの人が大好きで、大好きで、大好きで、苦しくったってあの人のことだけ愛していようって思った。 病院でも平気だった。患者さん診て、いつもとおんなじに元気になれた。仕事しながら、今日帰ったら電話して、笑いながら言うんだって決めてた。自分の歳も、前にも結婚してたことも、今もほんとはまだ結婚してることも。なんで言うんだろうっても思ったけど、正直になりたかった。ただそれだけ。もうドクターはそんなことどうでもいいのかもしれない。だけど、許して欲しいから。言えなかったこと、許してほしい。それだけ。それだけ。 わたし、それでも期待してた。全部話して、そしたらドクターは笑って許してくれて、何もなかったみたいにまた会ってくれて、アパートからセントラルパークまでいつかみたいに手を繋いで歩いて、葉っぱの雨の中で抱きしめてくれて、あんなに素敵だった時間をまたくれて。あんなに、あんなに素敵だった時間をまた一緒に過ごせて・・・。だけど今度は、ここでは誰も知らないわたしのことちゃんと知ってくれてて、それでも好きでいてくれて。もう先のことなんか考えないから、7月までの半分だけのガールフレンドでいさせてくれて。 そうだった。半分だけのガールフレンドに徹しなきゃって思ってたんだった。なのに、わたし恋人気取りでいたよ。半分だけって自分に言い聞かせながらも、ドクターが要らない愛を勝手に押しつけてた。 ごめんなさい。 ドクターの想いを大事にしなかった。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 謝りたい。 許して欲しい。 もう、ごめんなさいも言えないの? -
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