エアークラッシュ - 2001年11月12日(月) また起こった、と思った。また体が震えた。 今日は、昨日の Veteransユ Day の祝日の、振り替え休日だった。 わたしはこの3連休ずっと仕事で、今日も9時半の出勤だった。 病院に着いたら、オフィスでいきなり知らされる。 「飛行機がまた墜落したよ」。 「いつ? いつ? どこで?」 「たった今。ロッカウェイで。JFKのすぐそばだよ。」 近いところだ。 同僚のひとりが、ロッカウェイに住んでる友人に慌てて電話をしたけど、繋がらなかった。 フロアのクラークが、ラジオをつけてニュースに聞き入ってる。 ラジオの前に座って、わたしも必死で聞く。 テロリズムとの関連を調べるなんて言ってる。 シティへの橋とトンネルは、前と同じように全部閉鎖された。 「外出しないように」って言ってる。 静かな住宅地に落ちた飛行機。 乗客とクルーを合わせて、268人の人がまた突然亡くなった。 大きな4軒の家が燃えている。 それぞれの家で、穏やかな休日が始まったばかりだったはず。 あれからちょうど2ヶ月。一日だけずれてるのは、昨日起こるべきことだった? 誰もが同じこと口にした。 エンジンが落ちたらしいから、これは完全な事故だよ。 誰かが言い聞かせるみたいに言う。 それでもまた起こった悲しい事故。 ハロウィーンに何か起こるかも知れないからって、 子どもたちの楽しみな Trick or Treat は、今年はどこの家庭も自粛してた。 わたしは今年はキャンディを買わなかったけど、子どもたちも来なかった。 この週末はその次のロングウィークエンドだった。 もうすぐサンクスギビングがやって来て、それが過ぎるとクリスマスが終わるまで、 一年で一番の、ホリデーシーズンになる。一年で一番、人々が暖かくて幸せに過ごす季節。 やっと明るさを取り戻しかけていたのにね。 なんてことなんだろう。 楽しみを待ちわびてる誰もの胸に、大きな暗い影が落ちた。 腕を抱えて呆然としてるわたしに、知らないドクターが「大丈夫?」って声かけてくれた。 わたしはあの日のことを思い出してた。 もう震えを止めてくれないんだね、あのときみたいに。 もう、どこの病院のどんな病棟にいるのかさえ、わからないけど、 ここに住む人たちをまた襲った不幸に、やり切れない気持ちでいるんだろうね。あのときみたいに。 うちに帰ったら、留守電に無言のメッセージが入ってた。 「大丈夫?」って、電話くれたの? ・・・そんなはずはない。 「大丈夫だった? 病院に電話しようかと思ったけど、番号知らないし。 っていうか、誰かが出ても英語で何て言ったらいいか、わかんないけどさ。」 あの人がそう言ってくれて、日本でもニュースになったんだって知った。 あの人がそう言ってくれて、なんて優しいんだろうって思った。 メール、ありがとう。 顔さえ知らないわたしのこと、気にかけてもらってて嬉しい。 不思議な世界だね、「えんぴつ」。 不思議で、とてもあたたかい。 -
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