描き続けるよ - 2001年11月18日(日) 白紙に戻したいってわたしも時々思う。 だけど全て確かな時間だったから。 どれを取っても、どれも全部。 白いキャンバスに「えい」ってひと筆描いちゃったら、 もうしょうがない。 考えて考えて迷った末のひと筆でも、 先のこと何も考えずに落とした最初の筆でも、 もう描いちゃった時点でそんなこと関係ない。 あとは描き続けるしかないんだよ、 出来るだけ素敵な絵になるように。 少なくとも、わたしは描き続けてきたよ。 素敵な絵にしようと思い続けて来たよ。 失敗したあ、この色。この線。 あとからそう思ったとしても、 いい加減に筆を入れたことだけはなかったよ。 それだけは、チリほどだけどホコリだよ。 白い絵の具で塗り潰せばいいじゃんって、 そのくらいの利口さ持ち合わせてるつもりだったけど、 そんなまやかし、すぐ剥げちゃうことわかったし、 そんなの利口どころかバカだって思い知った。 わたしなんか、 いろんな色塗りたくってドロドロになって、 わけわかんない滅茶苦茶な塗り重ねで、 どこまで行っても完成なんかあり得なさそうだけどさ、 シンプルでキレイに完成された絵より 素敵じゃん、味があるじゃん、って 思うんだけど。 思わない? だめ? 塗り重ねて、塗り重ねて、 キャンバスめいっぱいどぶねずみ色になったらさ、 一日置いて乾かして、 とびっきり幸せそうな色を作って、 わたしなら、その上に天使の奏でる音楽を絵に描きたい。 まっ白のキャンパスに描くより うんと映えるよ、絶対。 それでも完成品にはなりっこないんだろうけど、 その絵を抱きしめて眠りたい。 キャンバス張り替えるくらいの逞しさがあればいいのにって 時々ホントにそう思うよ。 だけど、そこまで逞しくなくてよかったなって、 それはそれで本音なの。 自分が辿って来た道を、自分が残して来た足あとを、 全部好きになれたらいいね。 不器用でもさ、下手くそでもさ、 ちょっと離れたところから、自分が描いてる絵を見てごらんよ。 ほらね、まんざらでもないんじゃない? だから、わたしは描き続けるよ。 天使が奏でる音の絵を 抱きしめて眠れるときまで。 -
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