あの日の my valentine - 2002年02月07日(木) え? 女の子が男にチョコレートあげてコクハクする日じゃないの? 違うよ。恋人たちがふたりの愛をお祝いする日だよ。夕方になるとスーツ着て花束抱えた男の人がたくさん歩くの。ちゃんと正装してまじめに気持ちを伝えるために。素敵でしょ? 日が近くなると 相手を予約したり、ステディじゃない相手をステディにしたくて、「Be my valentine」って言ったりさ。その日にコクハクするってわけじゃないんだよ。そういうのもありだけど。 うそー。でもどっちかって言えば、女の子から言うんだろ? そんなことないよー。圧倒的に男が女の子に言う言葉だよ。でも関係ないんだって。男からとか女からとか。プレゼントとかカードもお互いに交換するし。そう言えばさ、日が近づくと、エッチな下着やさんがカップルでいっぱいになるんだ。それで、ねえ誰と過ごすの? とか もう誘われた? とか、みんな人のこと気にしたりして。あとさ、大好きな友だちとか家族にもカード贈ったりする。日本のクリスマスみたいかも。 じゃあさ、ホワイトデーはないの? ないよ、そんなの。 知らなかった。すごいショック。めちゃめちゃカルチャーショック〜。 バレンタインズ・デーが近づいた去年の今頃。 「チョコレートちょうだい」って言うから、「あたしも欲しいー。こっちじゃ女の子がチョコレートあげる日じゃないんだよ」って言って、そんな話したら、なんでそんなに驚くのかなあってくらい、あの人はしきりに「カルチャーショック」を繰り返してた。 バレンタインズ・デーの夜、いつものように電話で話してて、いつものようにふざけながら意地悪言うから、「もうキライー」っていつもみたいに拗ねたら、あの人が言った。 「僕は好きだよ」。 黙ってたら、笑いながら 「びっくりした? 言っちゃったよ」。 そう、初めてあの人が「好きだよ」って言ってくれた日。 「大事だよ。大切な存在なんだよ」っていつも言ってくれてたけど、「好き」なんて言ってくれたことなくて、でもそんなの別に当たり前だと思ってた。ほんとにそう思ってた。言っちゃいけないって決めてるんだろうなって思ってた。 びっくりするより、なんだかよくわかんなかった。 ジョーク聞いてて、最後のオチのとこ聞き逃して、みんな笑ってるのにひとりだけ笑えないでいるマヌケな人みたいになってた。 ロマンティックが出来ないあの人に、似合いすぎる普通っぽさだった。 だけど、最高にロマンティックなシナリオだった。 電話を切ってずいぶん経ってから、綿菓子みたいな優しい甘さがじわじわ溶けて広がった。 あの日のあの人は my valentine だった。 覚えてるかなあと思って、「もうすぐバレンタインだね」って言ってみたら、 「チョコレートちょうだいー」。 ・・・。 「そのかわりさ、3月14日は期待しててよ。いろいろ考えてるからさ。」 全然だめじゃん。 あれは、バレンタインのためのシナリオなんかじゃなくて、ただの偶然だった? -
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