日本語 - 2002年02月20日(水) あの人はわたしの日本語がおかしいって言う。 それを長いこと外国に住んでるせいだと思ってる。 わたしも時々自分の日本語がおかしいと思う。 でも、日本に住んでるときからちょっと変だった。 「アンタ言葉おかしいよ」ってよく言われた。 それに加えて今は、日本語話すことから遠のいてるせいも確かにある。 前のところに住んでた10年間は、毎日日本語話す相手は夫だけだったし。きちんとした日本語なんか話す機会なかったし。 ここにひとりで来てからの1年半は、誰かの顔を見て日本語話すことなんか、チビたち相手にしてるときだけだし。チビたちは人間の言葉喋ってくれないし。 あの人と電話で話すときも、たまに母親と電話で話すときも、よそ行きの言葉なんか使わないし。小難しいこと話さないし。 実際、話し方がものすごくトロくなってるし、何かを説明しようとすると上手く出来なかったりする。「ほら、えっと。なんだっけ。あーなんて言ったらいいのかわかんない。もういいや」とか。それも昔っからかもしれないけど、輪かけてひどくなってる。 今日初めて、病院で日本語を使った。 腎臓透析の患者さんが、韓国から来たばっかりの人で、日本語と韓国語しか話せない。 韓国語通訳出来るボランティアの人が今日は誰もいなくて、AT&Tの電話通訳サービスも時間が終わってて、患者さんが日本語も話せるってことが解った同僚が「助けて!」ってペイジしてきた。 めちゃくちゃ緊張しちゃった。 それより、自分の日本語がほんっと変って、びっくりした。 ちゃんとした言い方が出来ない。医学用語でもない普通の言葉もちゃんと話そうとしたら出てこない。詰まってばかりで、焦った。 ある年齢以上のタイワニーズやコリアンの人たちは、流ちょうな日本語を話す。歴史の背景を考えたら、それはいつもわたしには悲しい。大学のとき、「うちのおじいちゃんとおばあちゃん、日本語話せるよ」ってタイワニーズ系のクラスメートが無邪気に話してくれても、「ほんとー?」なんて喜んでみせながら、悲しいことなのにって思ってた。 「あなたが日本語話せてよかった」「言いたいことちゃんと言えて、よかった」って、患者さんは何度も笑顔で手を握ってくれた。今日は嬉しかった。患者さんの笑顔はいつでも嬉しい。今日は特別だった。自分のおばあちゃんみたいで、甘えたくなった。 明日もう一度、腎臓透析のドクターと一緒に診察する。 今日よりはマシな日本語話せるかな、なんて、ちょっと楽しみだったりして。 あの人のこと、とうとう怒らせちゃったかもしれない。 でももういいや。 わたしも怒ってるふりしてよ。 楽しみがあれば、ちょっとは考えなくてすむよ。 あの人と電話出来なくなったら、わたしの日本語ますます変になるんだろうな。 まあいいか。 いいのかな。 -
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