お祈りなんか - 2002年05月21日(火) あれからあの人はずっと歯が痛い。 歯茎が化膿して腫れてすごいことになってて、ずっと痛くて眠れないのに、朝になったら歯医者に行って、それから仕事になんないって言いながら仕事に行って、 帰って来たらまた眠れない夜。 昨日はどうしようもなくて、歯医者にだけ行って仕事休んでたけど、 さっきまでやっと3時間くらい寝られたからって、今日はまた歯医者と仕事に出掛けた。 「心配しなくて大丈夫だよ」って。 バカ言わないで。 心配しないでなんかいられるわけない。 ほんとに大丈夫なの? 歯医者さんは大丈夫なの? 口腔外科のある病院に行ったほうがよくない? ねえ、倒れちゃうよ。 ちゃんと休まなきゃだめだよ。体が疲れてると傷は治りにくいんだよ。 親不知って怖いんだよ。 ねえ、仕事休みなさいよ。行っちゃだめだよ。 お願いだから休んでよ。 ひとつも言えないで、代わりに涙が出る。 「ニューヨークは大丈夫? テロのことニュースでやってた。また起こるかもしれないって。」 大丈夫だけど・・・。 「何も変わったことない?」 ないけど・・・。 「気をつけてよ。気をつけるんだよ。」 ・・・。 「心配だから、ね、ほんとに気をつけて。何もないとは思うけど。」 ・・・。 何言ってんだろ、この人。 そんな死にそうな声してて、何言ってんの? なんでこんなときにわたしの心配してくれるの? なんでそんなに優しいの? なんでそんなに、優しいの? もう涙がポロポロこぼれて、ちゃんと返事も出来ない。 そばにいてあげたい。 手を握っててあげたい。 一晩中抱きしめててあげたい。 痛みを和らげてあげたい。 眠りにつかせてあげたい。 わたし、何も出来ない。 おんなじ時間にさえいてあげられない。 お祈りなんか、 お祈りなんか、 なんにも役に立たないよ。 -
|
|