天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

思い出が終わらない魔法 - 2002年05月22日(水)

朝の車の中、眠りそうだった。
いつもみたいなトロトロ眠りそうなんじゃなくて、半端じゃなく眠りそうだった。
目が半分しか開かない分、口がぱっくり開いて、口を閉じようとしたら目が完全に閉じる。うつろな目でパクパクしてる金魚鉢の金魚みたいに、マヌケな顔してそうだった。

突然フッと意識が遠のく。
レーン変えようとしてすぐ右に車がいることに気がついて、ドキッとしたらハンドル取られて、車が思いっきり左にすべった。高速の壁にぶつかりそうだった。気を取り直してレーン変えたら、左側抜けてった車のドライバーが呆れた顔で覗いて行った。
危ないったらない。それでも目が覚めない。

FM のステーションをがちゃがちゃ変えてみたり、CD いろいろかけてみたり、思いっきりボリューム上げてみたりしたけど、全然効かない。

いつもの FM のステーションに戻ったら、お気に入りの曲がかかってた。

I need a girl to ride ride ride
I need a girl to be my wife
I need a girl whoユs mine all mine
I need a girl in my life

I need a girl to ride ride ride
I need a girl to be my wife
Nobody else cuz sheユs all mine
I need a girl in my life

to ride とか、to be my wife とか、
なんて歌なんだってムカつきながら、usher のコーラスが心地よくて好きだったけど、

違った。
ラップの部分を初めて真剣に聞いてたら眠気が覚めた。
誰かと結婚したいこんな純粋な気持ちもあるんだって思った。汚い言葉使ったりするから、飾らない気持ちが切ない。切なくて優しくてあったかくて哀しくて、ひたすらピュアな気持ち。

あの人にはこんなふうに純粋な思いで結婚したい人がいるんだ。
そう思っても痛くならないほど、なんか素敵な気分になって、
眠気が覚めた。


ミズ・ベンジャミンとタニアとミズ・ディーとフランチェスカと一緒に、インディアン・バフェのランチに行った。最近フランチェスカがすごく好き。かわいいと思う。いい子だと思う。ものすごく。「あたしが男だったら絶対恋に落ちてるよ。一気にじゃなくてジワジワと。そういう子だよ」って、いつもフランチェスカの悪口言ってたドクターに言ってやりたくなる。

日曜日の留守電のメッセージと、かけ直したら番号が不通になってた話をしたら、フランチェスカは「イェイ!」って言った。あっちの病院に電話してみなよ、って言う。

もしかしたらもう LA に行っちゃったんじゃない? それであなたにバイバイが言いたかったのかもよ。向こうからかかって来たなら話は別だよ。あたしならあっちの病院に電話して確かめてみる。
嬉しそうに、そう言う。「わかんないけどね、あたしの助言なんか。30過ぎてもシングルなのに、男のことなんかわかるはずないけどね」って言いながら。

「もう忘れなよ」って言いながら、「ねえ、電話あった?」ってあれからもときどき聞いてきたり、「ほんとに顔がぱあっと明るくなってたの、あなたがフロアにいると。ほんとに全然違ったの。好きなんだなあって思ってた」ってそのあとまたそんなこと言ったり、そういうのが不思議とあったかかった。いつまでも平気になれないわたしの気持ち察してくれてるみたいで。

フランチェスカも同じように感じる人なのかもしれない。素敵な思い出があんなところで終わったままなのは哀しいってこと。恋を一方的に終わらせる時は冷たい終わらせ方をしたほうが相手のためだなんて、昔は傲慢にもそう思ってた。ふられて初めてわかった。そんなのは思いやりのようで違う。最後かもしれないってそんな気がしたあのキスは、ほんとの最後の意味を知ってるドクターの優しさだったはず。ほんとはあそこで終わるはずだった。あのあとドクターにわたしを傷つけさせたのは、わたし。思い出をあんなところで終わらせたのもわたし。でも、あっちの病院に確かめたりしない。わたしはいつもいろんなことを自分から壊しちゃうみたいだから。そんなつもりがなくても。


生理が始まって、今朝の異常な眠気の原因がわかった。

あの人は仕事場で電話を取ってくれて、ちょっと元気になった声を聞かせてくれた。
ほっぺたが腫れたまんまでめちゃくちゃ不細工だけど、って久しぶりに笑ってた。
「よかった」って、また泣きそうになる。「ごめんね」って笑いながら、また天使が舞っている。

わたしの想いに終わりはない。あの人の想いにも終わりはない。
だけど終わらせなきゃならないものがある。

大丈夫だよ、わたし。それを終わらせなきゃいけない時が来ても。
天使の魔法を信じてる。思い出が終わらない魔法を、あなたがきっとくれる。


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