現実 - 2002年06月08日(土) 郵便受けに入っているのはジャンクメールと請求書ばっかり。 請求書にどきっとして、ジャンクメールを見たらホッとする。 机の上に請求書を並べて、優先順位を決める。 先月払わなかったから2ヶ月分になってる電気代とケーブル代が最優先。 病院の駐車代を払わなきゃいけないから、 電話代は来月に回すことにする。 州の資格登録費もまだ払えそうにない。 明日は家賃を払わなきゃ。 これがわたしの現実なんだってため息ついてたら、電話が鳴った。 母からだった。 様子がおかしい。 ごくんと唾を飲ん だけど、違った。妹はちゃんと生きてた。 だけど・・・。 母がお金を騙し取られたって言う。 妹の夫に。正確には妹の夫を騙したヤツに。 妹の夫が死んでから全てがわかったらしい。 病気で働けない妹と、何度も手術をして爆弾を抱えながら生きながらえてた妹の夫と、そんなでもふたりが生きててくれてることを支えにしてた一人暮らしの年老いた母。 弱味につけ込んで3人を罠にかけて母の離婚の慰謝料をまるごと騙し取ったヤツは、誰でも知ってる大手企業の社員だった。会社が後ろ盾していた。 あの気丈な母が涙声になってる。 心配かけまいと、わたしには言えなかったって言った。 妹は夫が死んでから病状が悪化したのに、通っていた病院でもとうとう治療を拒否されたらしい。それ以来「死ぬ」「どうせもう長くない」「死にたい」を繰り返してるっていう。 騙される方が悪いなんて、わたしには言えない。 病気の娘夫婦を何とか助けてやりたい一心だった母の心情を察したら。 死にたいなんて言う妹はバカだ、とも思えない。 何年も何年も体が自由にならずに、夫は死んで、母が自分のせいでお金を騙し取られて、病院から見放されて、いったいどうやって生きる望みを持てるだろう。 夫のもとに逝かせてやった方が幸せなんじゃないかと思ってしまう。 だけど母はどうなってしまうだろう。 腹立たしい。 騙したヤツもそそのかした会社も、 そんな犯罪を野放しにしてる日本の社会も腹立たしい。 日本の医療が腹立たしい。 弱い者が決して救われない国。 けれど、それが現実。 -
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