天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

薬 - 2002年07月19日(金)

大きな花が届いたって、喜んでくれた。
「嬉しかった?」って聞いたら「嬉しかったし、デカかった」って。
入り口のドアから入んないくらいデカかったって。
「ウソだ」って言ったら「ホントだって。見てないから知らないだろ。すごいデカいんだって。写真撮って送ってあげるよ」って。
お花はたくさん届いたけど、わたしのみたいにデカいのはなかったって、すごく喜んでくれた。
デカけりゃいいってもんでもないけど、嬉しかった。

新しい仕事、いよいよスタートだね。
またひとつあの人が大きくなった。今度はどかーんとデカくなった。
そっか。花束、そんなにデカかったなら large じゃなくて medium 注文しときゃよかった、なんてちょっとセコイこと一瞬思っちゃったけど、どかーんとデカくなったあの人に相応しいよね。

わたし、やっぱり見ていたい。
あの人が大きくなってくとこ。ずっとずっと見ていたい。


カダーは毎日ドアをノックしてくれる。
雨が降ってたから荷物運びは中止して、今日は一緒にごはんを食べに行った。
ハンバーガーが食べたかった。しっかり焼いてもらって、ぎゅうっと締まってるのにまだ厚いパティが香ばしくてがおいしかった。カダーはミディアムに焼いてもらって、中が赤いパティを平気で食べてる。「焦げた肉はよくないんだよ」って言う。「癌になるって言うんでしょ。違うよ。毎日毎日 BBQ 食べてたらそりゃあ癌の原因になるけどさ、たまに食べるのは平気なんだよ。それよりちゃんと焼けてないお肉の方が病原菌が危ないのに。知らないの? E.Coli O157っての。ひどいと腎臓病とか脳障害とかになっちゃうこともあるんだから」。そう言って脅してやったら、「どうしたらいいのさ。もう半分食べちゃったよ」って本気で心配してる。おかしい。

仮病使って仕事を休んで一日中パッキングをしてたから、おなかがペコペコだった。こんなとき突然一緒にごはんを食べに行ける人がいるのがいいなって思った。

名前を上手く発音出来なくて、声に出して練習する。「難しいよ」って言ったら、「じゃあ好きな名前で呼べばいいよ。Kenny とかさ」なんて言う。びっくりした。「なんで Kenny なの?」「別に。Kのつく名前言ってみただけ」「だめだよ、Kenny は」「なんで?」「少しだけのボーイフレンドがいたって言ったでしょ? その人の名前なの」「じゃあ Kenny はだめ。ちゃんとカダーって呼んで」。

また練習する。オーケーが出るまで練習する。ヘンな名前。じゃなくて、難しい名前。

カダーのことを、好きか嫌いか言え、どっちか言わなきゃ殺す、って誰かに拳銃をつきつけられたら、「好き」って答える。嫌いじゃないし、死ぬのが怖くなくてもそんな死に方はしたくないから。それだけ。


誰でも肌のぬくもりを求めていて、それが手に入ったときものすごく安心出来る。淋しさを消してくれる薬。Kenny は薬をくれたけど、よく効く分副作用がたくさんありすぎた。ドクターのくせに、処方を少し間違えた。そのうえわたしは服用の仕方も服用する量も間違えた。

カダーの薬が安全なのかどうかわからない。だけど今のところ、効きすぎない程度に上手く効いてる。

あの人と触れ合うことなんて出来ない。
あの人からわたしは、淋しさを消してくれる薬をもらえない。ほんとはそれが正しい薬なのに。
だからカダーの薬だって間違ってる。
だけど仕方ない。わかんないけど、仕方ない。

間違った薬を飲み続けて、わたしはいつかボロボロになってしまうのかもしれない。
薬のせいで、あの人の魔法も効かなくなってしまうのかもしれない。
それでもあの人が大好きで、それでもあの人への想いは止められなくて、
それでもわたしは、あの人が夢をひとつずつ掴まえて大きくなっていくのを、ずっとずっと見ていたい。

バカにつける薬はないって、ほんとにそうだ。


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