喧嘩 - 2002年08月05日(月) 土曜日。 まだまだ残ってる段ボール箱をひとつずつ開ける。引っ越しってなんて非生産的な行動なんだろ、と思う。カップがひとつとお皿が一枚割れてたりして、破壊的とすら思える。「開けるときのお楽しみ」って言い訳つけて箱にレーベルを貼らなかったら、何がどこに入ってるんだかほんとにさっぱりわかんなくなった。 片付けるのに飽きてアンサリング・マシーンのメッセージを BGM 入りで吹き込んでたら、カダーから電話がかかって来た。来てくれることになったけど、カダーの車は調子悪くてわたしが迎えに行った。一緒に飲みに行った日以来、スッピンに髪をまとめてショーツにTシャツかタンクっていう引っ越し用のカッコしか見せてなかったから、髪をおろしてちょっとかわいいドレスを着てったら、カダーは「おお〜」って喜んだ。 カダーとカダーのルームメイトと3人で、近くのグリーク・レストランにごはんを食べに行く。引っ越してまだ3日しか経ってないのに、こうやっていつでも戻って来られるんだと思ったら嬉しかった。3人でいっぱいおしゃべりしながら長い長い食事をした。 ルームメイトとバイバイして、カダーがわたしの車を運転して、ふたりでわたしのアパートに向かう。もう11時になってた。「まだ片付いてないんだよ。綺麗になってないけどいい?」って言ったけど、カダーが電話をくれてからすごいスピードアップで片付けて、お部屋はぺしゃんこにした空っぽの段ボール箱の山がある以外もう殆ど綺麗になってた。カダーは当然のように泊まって、わたしもそれを当然のように思ってた。 日曜日。 お昼ごろにふたりで起きた。わたしが IKEA で買いたいものがあるって言って、わたしが行ったことのないニュージャージーにある IKEA に行くことにした。インターネットで調べたらここから32分って書いてあったのに、ものすごい車の量で、シティを通り抜けるだけで1時間かかった。リンカーン・タネルをくぐってニュージャージーに入ってからも1時間くらいかかった。それでもドライブが楽しかった。IKEA も楽しかった。おなかがぺこぺこになってシナモンバンを貪るようにパクついたら、ふたりして吐きそうになったのも楽しかった。 ニュージャージーはたいくつなとこだったけど、カダーが連れてってくれたパターソンのダウンタウンには地中海料理のお店がたくさんあって、初めて食べたターキッシュ・フードがおいしかった。ターキッシュ・レストランでは誰かのウェディング・シャワーをやってた。花嫁になる女の子がとても綺麗で可愛かった。殆ど貸し切りのプライベートパーティの隅っこで、なんとなくこっそりごはんを食べたのもおもしろかった。 帰りに渡ったジョージワシントン・ブリッジの料金所で、どこかでわたしが掴まされたまま使えずに持ってた偽10ドル札を出したら、すんなり受け取ってお釣りをくれて、ふたりで顔を見合わせて親指を立てた。まるでふたりで偽造したお札を上手く使えたみたいに、橋の上で「やったね」って大笑いした。 ものすごく楽しかったのに、高速の出口を間違えて降りて完全に道がわからなくなったあたりから喧嘩になった。段々エスカレートして怒鳴り合うほど大喧嘩して、アパートに着いたころには口も聞かない険悪さになっていた。 機嫌が悪いまま、カダーは帰るって言った。わたしは黙ってた。「送ってくれる?」ってカダーは聞いた。わたしは黙ってた。ずっと黙ってた。何度もカダーが行こうって言うから、やっと口を開いて「行かない」って言った。カダーが怒ったままなのがイヤだった。謝るからもう機嫌直してって言ったら、カダーは乱暴にわたしを抱いた。滅茶苦茶に乱暴だった。下着の上から精液をかけられた。 カダーは拭いてもくれないで、自分だけさっさとショーツを履いてベルトと締めて、無表情のままで「早く用意しな」って言った。わたしは自分で、汚れた下着を丁寧に丁寧にティッシュで拭いた。それからカダーのほっぺたを、平手で思いっきりひっぱたいてやった。 パシーンと大きな音がお部屋に響いた。 -
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