みんなお芝居 - 2002年08月11日(日) 2ブロック先のコインランドリーに洗濯をしに行く。 ビルのアパートじゃないからランドリールームがなくて、大家さんのランドリールームは当然コインランドリーじゃないから使わせてもらえない。これがお家のアパートに住む一番の不便さだと思ってたけど、外のコインランドリーに行くのも悪くなかった。日曜日だからか、たくさん人が集まってわいわい賑やかで、なんかそういうのがいい。冬はちょっと大変かなと思うけど。 待ってる間、陽差しが暑くて気持ちいいから駅の方まで歩いてみる。このあたりに住みたいって何度か見に来て歩いた界隈。あのときの感覚が蘇って、あのときとおなじにワクワクする。わたし今ここに住んでるんだよ、って得意になったりして。ちょっとウロウロしてるとすぐに時間が経って、あわててコインランドリーに戻った。昨日はこの街に越して来て2年目の記念日だった。あの娘の写真の前に飾るお花を買おうと思ってて、忘れちゃった。 乾燥機に洗濯物を移して、アパートに帰る。 シャーミンが、ミル貝入りのパスタを作って持って来てくれた。昨日はサーモンのディナーを持って来てくれた。 パスタを半分食べて、ランドリーを取りに行ったあと、こっそりたばこを吸いにまた外に出たら、フランクがガレージのとこでデッキチェアに座っていつものようにたばこを吸ってた。「吸う?」って差し出してくれたけど、「持ってる」ってポケットから自分のを出して吸う。こんな仕事をしてるのにたばこ吸うなんてカッコ悪いから内緒にしとくつもりだったのに、フランクにはとっくにバレてた。 うちの中では禁煙って決めてる。前のアパートみたいに窓辺で吸ったりもしない。だから本数が減って、いい傾向だ、なんて思ってる。フランクはデッキチェアをもう一つガレージから出してくれて、並んで座っておしゃべりする。 それから、金曜日にカーウォッシュに行ったのに隣りのお家の工事のせいでまた汚れちゃった車を、フランクが一緒に洗ってくれて、ワックスまでかける。 シャワーのお水の方の蛇口が壊れてたから、フランクに直してもらった。これで、シャワーの途中で急にお湯がお水になってカダーが悲鳴をあげなくて済む。なんて思った。 引っ越しの準備を始めてから封も開けずに溜めていた郵便物の整理をしたら、「赤信号無視」の罪に問われて罰金50ドルの請求が来てる。写真にばっちり撮られた、赤信号の交差点のど真ん中をゆうゆうと走るわたしの車と、ライセンスプレートのアップ。間違いなくわたしのナンバー。あの、仕事が出来なかった「強制休暇中」にこのあたりを見に来た日の日付けだった。 あの人に電話してみたけど、繋がらなかった。 それからカダーにかけてみる。 「友だちとして」電話をかけて、「友だちとして」おしゃべりする。 そういうふうに思い込んだら、そういうふうになりきれるものなんだって、ちょっと思った。 みんなお芝居なんだ。 カダーがわたしを誘ったことも、わたしがカダーをだんだん好きになったことも、カダーが「愛せない」って言ったことも、それを聞いたことも、赤信号を渡ったことも、罰金の請求書が来たことも、罰金を払うことも、今日カダーに電話したことも、ふつうに話したことも、ふつうに話してちょっとお芝居みたいだと思ったことも、車にワックスをかけたことも。 多分、生きてることは、一片一片がどれもみんなお芝居なんだ。 だからどうでもいい。なんでもいい。 あの人とわたしのことが、まるでお芝居みたいなのに、それだけがほんとはお芝居じゃなくて、だからそれだけが大切で、だからそれだけがほんとは幸せなんだ。 -
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