そのうち忘れるなんて簡単に言える訳ない。 …簡単に癒える訳ない。
胸に残る痛みも、脳に響く言葉も、骨を砕くような眼差しも、 私はいつでも覚えて居たい。
…胸が痛い。
だけど。
忘却の水は、霊魂でなければ、飲むことは出来ない。 躰がこの世にある限り、私はあの人のことを覚えて居たい。 この躰ごと。抱えて居たい。この肉と心で。
消えない痛みを抱えるからこそ、貴方にそっと触れられる事。 儚いキスを、何度も貴方に重ねる事を。
生きてる限り、哀しみだけなんて、都合よく消える訳無い。 哀しみが消える時は悦びも消えてしまう。
私が消える瞬間まで、…覚えて居たい。 できればそのどちらも。その手の、ぬくもりも。
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