意識を、魂の方に集中すると、見えるのは白。 何もかも真っ白で、…確かな輪郭が薄れる。
途方も無い虚無感。怖いほどの、消失感。
意識を、肉体の方に集中すると、見えるのは黒。 なにもかも澱んで、現実という暗さに押し屈められる。
言う事をきかない私の躰。役に立たない時間。
貴方を想う時、ガラスのように、冷たい壁がそこにはあって、 向うの貴方を見たいのに、白も黒も邪魔をする。
美しいバランスを保つ事。それが「透明」。 ガラスの壁の内側に、厚かったり薄かったりするその内側に 白や黒が交じり合っていて、私はそれが透明になるのを待つ。
貴方に逢いたい。
両手をついて、額をこすりながら、その向こうに居る貴方を見ること。
そちらには行けない。
それでも、…ガラスの向こうの貴方に、…やっぱり、恋焦がれている。
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