幼いころからずっと、誰かの特別になりたかった。
誰かに優しくされると嬉しいけど、それが「誰にでも」だって、 気付いた瞬間にいつも哀しくなった。
誰かが優しく気遣ってくれて、簡単にかん違いをして あとでよく一人で落ち込んでみたり。
誰かを独り占めしたいという欲よりも、ずっと、 誰かに自分を独り占めされたいと思った。 心を占められるのも、そうだけど、やはり、 ずっと、特別になりたかった。 特別に扱われたいと思っていた。ただ、ひとりとして。
笑顔も、掌も、想う気持ちも、側にいるのも、 何でもいいから、何もかもを、ただ、ひとつの特別になりたくて ずっと。
だけど現実に、何をするにも私だけが特別に出来る事など何ひとつ無く、 何をするにも、何もかも、他の人と変わらない。全く。 …息をするのも、右手を動かすのも、ため息をつくのも。
それでも、…「それ」が「私」でなければいけない理由を、 私はずっと探していて、ただ、普通に、生きている事の全てが、 誰かにとって特別でありたいと、ずっと、思っていた。
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