今まで色んな人と接して来たけど
おそらく私の本質を確かめる事は とてもとても難しいのだろう。
私は、微弱にして希薄な、 …そのくせ、図太く陰湿で、 まるで黒い虹のような、 ずるずると地を這う蛇のような 表現し難い何かを内に飼っていて、…しかし普段は、 鏡のような柔らかい殻で 他人を映して逃げている。 見付かるのを。 誤魔化している。 …それは、気が付いたら身についていた私の処世術。 無意味に傷つかず、 他人を傷つけない為の。
だけど、あの人にはそれが効かない。
たった一言で、細いナイフのように選ばれた言葉で いとも簡単に私自身すら気が付かない核心をつく。
殻は切り開かれて、 隙間から闇に埋もれた本質が漏れる。
あの人の二番目の言葉は、 火掻き棒のように更に私をえぐり、 現実に、「私」を引き擦り出してしまう。
…こんなやり方でしか私は私を確認出来なくて、 こんなふうにしか、他人に自分を晒せない。
もっと、違う方法で、ただ誰かと話し合えたらと 願えど。
まだ、出会えない。 私を、静かに確認出来る誰かに。
そして「私」が愛せる「誰か」に。
|