Share * 愛部屋 * Room   story by...kisaragi & tako

 

 

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ZS日記 「25時」-12・・・・・kisaragi - 2003年06月24日(火)

はじめて使う台所は、案外綺麗だった。
しかもそれは、使われていない綺麗さではなく、
きちんと台所としての用途を果たした上での綺麗さで、
ちょっぴり意外に思いながら、次々と小分けにしておいたタッパーを開ける。
「おい、食器も借りるぞ?」
「あ?別にそのままでもいいぞ。何かに入れてきたんだろ?」
「・・・・・いいから貸せ」
確かにタッパーから食べるのも、弁当とかならいいかもしれないけれど、
家の中での食事は、例えそれが作りたてでなくても、
きちんと盛り付けられたものがいい。
口だけでなく、目でも食べて欲しいから。
これも意外に揃っている食器を使って、手早く盛り付けていく。

「飲みもんどうする?ビールはもう飲んでるみてぇだし・・・・・
お茶とかあんのか?」
「冷蔵庫にウーロン茶が入ってる」
テーブルへと並べながら問うと、区切りのいいところまでと、
未だパソコンに向かっているゾロは、背中を見せたまま答えてくる。
「了解」
コップは・・・・と目を泳がせた先で、水切りの中にやけに可愛らしい物が目に入った。
クリーム色の地に、ぐるりと一周黒い犬の模様が入っている、
パステルグリーンの市松模様が縁に付いた大きめのマグカップ。
あれ?さっき食器棚にも似たようなのが・・・・・
確かめると、市松模様の部分がペールブルーのカップを再発見。
・・・・・使っちまおうかなvvvvv

水切りの方はゾロのが使ってるやつだろうとあたりをつけ、
自分用にとそのカップを出す。

どうやら切りのついたらしいゾロが寄ってきて、
殊勝にも手伝うと申し出てきたのに気を良くし、
カップと飯を持たせて、自分はおかずを盆に載せる。


テーブルの上、俺の前に置かれたパステルグリーンの市松模様。


既に日付も変わった25時
思えばその不審さに、浮かれた俺は気づかなかった。



「25時」 了





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ZS日記 「25時」-11・・・・・kisaragi - 2003年06月14日(土)

案の定机の上に冷え切ったコンビニの袋・・・・・
食べられた形跡は無く、缶ビールだけが存在を主張している。

「とりあえず喰え!台所借りんぞ」
「おい・・・・・っ!」
すたすたと部屋に上がりこむ。
はじめての家に来たにしちゃあ図々しいのは百も承知で。

戸惑うゾロを尻目にわざと軽く、へにゃりと笑った。
「飯を作るのは趣味なんだよ。
いつも多く作りすぎる、
でもって、月曜に企画の締め切り抱えた誰かさんのことを思い出した。
会議前って飯喰う暇もねぇだろう?
ああ・・・・気にすんな。
どうしても気にしたけりゃ、この仕事が終るか、俺が仕事に追われてる時に、
飯の一つも奢るなりしてくれりゃいい」
立て板に水・・・・・というよりマシンガントークか・・・・・
自分で苦笑しながらふとゾロを見ると・・・・・・

やけに優しい目をしたゾロが俺を見ていた。

大きな手が頭へと伸びてきて、くしゃりと髪を撫でられる。
「わかったよ。丁度疲れたから休もうと思ってたとこだ。
一人で喰うのも侘しいから、一緒に喰ってくれ」


ドキリ

心が震えた。


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ZS日記 「25時」-10・・・・・kisaragi - 2003年06月10日(火)

どうしよう?

今更のように考える。
勢いに任せて、作ってしまった夕飯を詰めたタッパーと目の前のドア。
その中には、恐らくは今、死にそうに忙しいであろうあいつ。

とても終りそうもないと、傍から見ていても解るほどの仕事量を、
音を上げるのは負けだとばかりに、黙々と片付ける姿を見ていた。
月曜の企画会議、ゾロは間に合わせるだろう。
ゾロとはそういう奴だ。
それを知っていると同時に、間に合わせるために、
睡眠や食事といった、己のための削り取れる物の全てを、
いとも簡単に犠牲にする姿もはっきりと見える。

だから・・・・・

丁度自分の仕事の区切りがついたこともあって、
少なくともゾロよりは時間が取れる。
データの分析は俺の手を出していい分野じゃない。
それはゾロの仕事だから。
けれども、データの打ち込みくらいなら、俺が手を出すことを許してくれるだろうか?
せめて少しくらいは何か摘んで、仮眠を取るくらいの時間を自分に許すだろうか?

冷えていく料理にせかされるように意を決する。
震える指先がインターフォンを押すと、ドアの向こうで人の動く気配がした。

「ゾロ? 俺…」




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