Share * 愛部屋 * Room   story by...kisaragi & tako

 

 

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ZS日記 「 海 」-4・・・・・tako - 2003年07月24日(木)

「あっつ〜い」
シャワーから出てきたナミは、タンクトップにショートパンツ。
冷蔵庫からお気に入りのビールを取り出してソファに倒れ込む。
初夏の日差しに一日晒されて赤くなった腕に、冷たい缶を押し当てながら、
「あ、お素麺できた? 美味しそうvv 海は?」
「風呂出てすぐに寝ちまった。疲れたんだろ。」
「そうねぇ。大活躍だったもの、運動会」
「ま、俺の血筋だからな。当然だ。」
「馬鹿言ってんじゃないわ。スポーツ万能は、ウチの家系よvv」

簡単なつまみと冷たい素麺を啜りながら、どんどんビールを開けていく。
「最近、預けっぱなしなんですってね。約束が違うじゃないよ?」
「あぁ、週末も仕事が入るとな。一人で置いとくわけにもいかねぇから」
「それは分かってるけど、あんたがちゃんと面倒見るって言ったんだからね?
 出来ないなら私、いつでも引き取るわよ?」



週末は一緒に過ごすという条件で、普段は実家に預けている海<かい>は
まだ10歳にもならないのに、そんな状況に文句一つ言わない。
ナミの言い分は尤もだが、子どもの環境をころころ変えるのはよくないだろう。
このところの驚異的な忙しさが、いつまで続くのか分からないが、
海は祖父母も好きだし、ゾロと暮らすことを望んでいる。
実家が近いのも幸いしている。

「あ、私、明日早いんだ。そろそろ帰るね。ごちそうさまvv」
「ああ、送ってくぞ」
「ん〜、いい。仕事残ってるんでしょ? それにもし海が目覚ましたら、
 あんた居ないと可哀想だし。」
「悪いな。今日は助かった。あいつ弁当も喜んでたし。」

エレベーターに消えていくナミを玄関で見送り、パソコンのスイッチを入れた。



月曜の夕方、無事企画会議も終わり、デスクに戻ると、
相変わらず山積みの書類が、更に増えているような気がした。
これらもいい加減片付けなきゃならないのは承知の上で、
今夜はサンジを誘って飲みに行こうと思っていた。

朝から会議室に缶詰で、顔も見ていない。
一昨日の礼も言いたいし、ゆっくり話もしたかった。
2徹明けだから早く帰りたかったのも事実だ。
まだ外回りから帰っていないサンジを待ちながら書類の山と格闘するうち、
気が付けばフロアに人気は無くなっていた。

ホワイトボードの ** 本日のスケジュール **
夕方にはなかった、「サンジ直帰」の文字に気が付いたのは、
警備員が戸締りにやってきた、9時過ぎだった。


-

ZS日記 「 海 」-3・・・・・kisaragi - 2003年07月17日(木)

明日は・・・・・と口篭ったゾロ。
普段に比べて、不自然な程に歯切れの悪いあいつに、
その先は、恐くて聞けなかった。

聞けないからと言って、気にならない訳じゃない、
実は気になって気になって仕方が無いのに、
そんな自分を見せるのが嫌で、
妙にハイテンションでデータを打ち込んでいた気がする。
一風呂浴びているゾロを待ちながら、朝食の準備を終えて、
打ったデータの見直しをする。
それでも打ち間違えの無い自分に、俺ってすげぇと苦笑が零れた。

俺の作った朝食を、美味そうに食いながらも、
口から出るのは、

「悪かったな、朝まで付き合わせちまって。」

構わねぇのにそれくらい

「昼間はヤボ用があるから、続きはまた夜だな。」

あ、それってもういいからってことか・・・・・・?

再び手許に来たカップは緑色。
これは誰のカップだろう?

追い立てられるようにゾロの家を後にした俺を打ちのめす様に、
駅への帰り道、向かってくる見慣れた姿。
明るいオレンジの髪、太陽のような笑顔の、敬愛して止まない存在。

思わず隠れた自分が滑稽で悲しくなる。

確かに噂はあったけれど、
否定しない代わりに肯定もしない二人の様子に胡座をかいていた。
恋人同士というよりも、「同士」といった雰囲気に、
半ば希望的な観測で、目の前に横たわる事実に目を瞑っていた。

どちらも大切な人だから・・・・・・・
俺は、ゾロの傍にいちゃいけない。



-

ZS日記 「 海 」-2・・・・・tako - 2003年07月10日(木)

仕事に一区切りつけてシャワーを浴びる。
濡れた髪をガシガシ拭きながら出てきたら、
冷蔵庫の中のなけなしの食材が、サンジの手によって
思いもかけない豪華な朝食に変わっていて驚いた。

「悪かったな、朝まで付き合わせちまって。」
「いや、そのつもりで来たから構わねぇ…でも、まだ終わんねぇんだろ?」
「あぁ、昼間はヤボ用があるから、続きはまた夜だな。」



「片づけをしてから帰る」というサンジを、追い出すように帰して、
5分もしないうちにドアフォンが鳴った。

「おっはよう!!」 朝から無駄に元気な奴が、遠慮の欠片もなく入って来た。
「早えぇな…」
「早くないわよ。朝ご飯食べた?」
「あぁ、喰った…」
「ふぅん、珍しいじゃない。私が来る前に起きてて、ご飯まで…?」
「ん、徹夜。」
「あ…っそ。ほら、お弁当作ってきたわよvv 材料費はあとで請求するからね!」
「おう、悪いな…って、手間賃は取らねぇのか?」(珍しい…)ボソリ
「ん? 何か言った? ふふっv まぁ、今日は特別サービスにしといてあげるvv
 さあ、もう出かけられるの?早くしなさいよ!」
……キャンキャン煩せぇ奴。


「あれ? 誰か来てたの?」
シンクの洗いおけに浸してある2人分の食器を目ざとく見つけたらしい。
「ああ、昨夜サンジが来て仕事手伝って、朝飯まで作ってくれてさっき帰った。」
「あら、よかったじゃない。サンジ君のご飯、美味しいよねvv ねぇ、まだぁ?」
口と同時に手も動かし、洗い物を手早く済ませてくれた。
女は器用だな。


幸い天気も良さそうだ。
なんでこのクソ忙しい時に…と、思っても仕方ないことを思う。
帰ってからのウンザリするほどの仕事のことは一時忘れて、
今日は一日、日ごろ放ったらかしにしている罪滅ぼしをするつもりだ。


前からの約束だから。


-

ZS日記 「 海 」-1・・・・・tako - 2003年07月06日(日)

「なぁ、仕事…月曜までに終わんのかよ?」
「終わるかどうか、じゃなく終わらせる、だ。」

メシが旨い。
あの、イモの煮っ転がしは確かに旨かった。
でも今、目の前に並んでいる料理は、その記憶を一気に塗り替えて、
感動すら覚える。
コイツだって仕事から帰って疲れてるのに、俺のために料理をして
こんな時間に、わざわざ届けてくれた。
俺がマトモな食生活をしてないことを、何故知ってる?


「マジ、旨い。お前のメシ。」
もうちょっと言いようがあると、自分でも思うのだが、
もともと口は達者な方じゃない。
かなりの量があったはずだが(サンジも多少手をつけたとは言え)
殆ど俺が平らげたようだ。
青のマグカップに注がれた烏龍茶を飲みながら、満足の溜息を零す。
サンジも緑のカップを両手で包み込むように持ち、微笑っている。
もっと料理を褒めた方がいいんだろうと思う。
コイツの喜ぶ顔が目に浮かぶ。 次の瞬間、心臓が跳ねた。

サンジの唇が、俺のカップに触れた。緑の縁取りに…



「○※☆…&◇#*…□△X……」

「あぁ?」やべっ、聞いてなかった。

「今夜泊まって、明日も一日手伝ってやるって言ってんの」



「あ、明日は……」




サンジの顔から笑顔が消えた。


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