
『戦後日本(第5巻)占領と戦後改革 過去の清算 』
著者:尹 健次 (ユン コォンチャ)
出版社:岩波書店
サイズ:全集・双書/275p
発行年月:2005年09月
「もとより『総司令部案』の第十六条には内外人平等の原則が謳われていたが、当時法制局第一部長ついで次長としてマッカーサー司令部との折衝に当った佐藤達夫は、交渉の過程で『国籍起源』のみならず、第十六条の外国人の権利条項そのものを削除したことを得々と語っている(『日本国憲法成立史』第三巻)。その結果、日本国憲法は『天皇』とそれを支える『国民』だけを規定するものとなり、外国人は明文規定のない『非国民』として事実上排除されてしまうことになった。当然、旧植民地出身者を正当に処遇する法的規定はなんら存在せず、『国籍』にとらわれない『市民』という概念も無く、『外国人』はただ出入国管理法制の枠組みのなかで、『公正な管理』の対象とされていくことになった。」(P53)
「日本国憲法は今日に至るまで、国民主権、戦争放棄、基本的人権の尊重を柱とする『平和憲法』であると評価されがちのものであるが、その評価が妥当であるか否かは、戦前『日本臣民』とされ、多大な犠牲を強いられた旧植民地出身者がいかに処遇されたかということと関連して検証されるべきものである。歴史の規定性からするかぎり、日本政府が被占領下における憲法制定過程において旧植民地出身者を人権保障の対象から巧妙に排除する手立てをとったことからして、日本国憲法は世界につうじる『平和憲法』の名に値しないというのが真実である。・・・」(P50)
「こうしてみるとき、現行の日本国憲法が(一)天皇制の存続、(二)植民地支配・戦争責任の自覚・反省の欠如、(三)旧植民地出身者の在日アジア人を『外国人』として憲法の枠組みから除外する、という基本的特徴をもっていることは明らかである。・・・」(P53)