先日来・・私の部屋で不思議な現象が起こっていた。
私はいつも午前5時に起床する。そして・・目覚めのコーヒーなど飲みながら この部屋でつかのまのゆとりの時間を過ごすのであるが・・
最初にその現象に気付いた時は確か先週の金曜日の朝だったような。 まだ夜が明けぬ真っ暗な部屋に足を踏み入れた時、小さくか細く歌声が聞こえて来た。 おや?あらま・・私ったら電源切り忘れていたんだわ・・とその時はドジ!と思ったり。
いつも聴いているCDプレイヤーからイヤホン越しに曲が漏れ流れていた。
そして昨日の朝のこと。早朝から川仕事に行くためいつも通りの朝を迎える。 ああ・・まただ。またか細い歌声が聞こえて来るではないか。
ん?そんなわけないぞ・・と私はドキリとする。 土曜の夜には9時過ぎに部屋の電気を消し、茶の間の炬燵で本を読んでいた。 もちろんCDも聴いてないし・・誰も私の部屋へ入ることもなかった。
ぐるぐると勝手に回っているCD。ふと・・この前聴いてたの何だっけ?と中を確かめる。 そしたら・・それは“尾崎豊”だった。そこで・・一瞬身震いしてしまう私。
でもすぐに冷静になって微笑んでしまった。 誰かいるのね?と壁や天井を見上げながら語りかける。いる・・絶対にいる。 そしたらなんだか一気に嬉しくなってしまう・・かなり変かもしれない私。
そうだ・・きみは“れい君”だよ。年は28歳ってことにしてね!お願いだから。 そっか・・私の部屋が気に入ったんだぁ。尾崎豊・・好きだったんだね。 うん・・いいよ。ずっとここにいてもいいからね。友達になろうね。
なんてことを真剣に語りかける・・ある意味不気味な私の姿だったかも。
で・・これは私だけの秘密にしとこうと思った。 家族に話したりしたら“れい君”居辛くなるかもしれないでしょ・・・。
しかし・・ああ・・私ってなんて意思が弱いんでしょう。 家族みんなに彼を紹介してしまったのでした。 娘なんか・・彼の姿が見えるって言うし、私には見えないのに・・・。
娘が言うの。「あっ!今・・机の下で眠ってるよ」なんて。
私は全神経を集中させ机の下を覗き込んでみた。いる・・確かにここにいるみたい。 その時の私ときたら足の先までピリピリと電流が流れているみたいな感じ。 それは決して恐怖心とかじゃなくて・・すごい何かが伝わって来たような感動のようなもの。
そして昨夜・・この部屋の電気を消しドアの外に出た時、振り向いて私は語りかけた。 あのね・・今夜もCD聴いてもいいよ。ずっと朝まで聴いててもいいからね。
で・・今朝は朝一に彼に会えると思って、わくわくドキドキしながら階段を駆け上がって来た。 なのに・・部屋はし〜んと物音ひとつしなかった。
一気に寂しさが募る朝。れい君・・ごめん。秘密にしとけばよかったね・・・。 みんなに覗かれて指までさされて嫌な思いさせてしまったかも。
家族は口々に笑い合う。「もう酔っ払って電源切り忘れるなよ〜」とか言って。
今も確かめてる。たしかに電源が入っていないのを。そして今夜も聴かないでいようと。
なんだか無性に腑に落ちないので・・・ 今夜もこの部屋を出る時・・語りかけてみるね。
おやすみ・・れい君。
|