朝からテンション上がるし・・どうしようもなく落ち着かなくて。 だって一面の紫陽花だもの。乙女でいさせてマイダーリンの心境であった。
東へ東へと三時間かけて辿り着いたその場所。 小雨降る中・・傍らの男と一つの傘で。そこまではとても絵になる光景であった。 が・・期待とはなんと愚かな事であろうか。それは大きいほど痛手を伴うものだろうか。
紫陽花はもう命からがら悲しそうにうなだれているのだった。 あの雨に打たれても微笑んでいた面影。それはもうどこにも見つからなくて。
桜なら良かったのにな・・と彼が呟いた。 潔く散れない紫陽花のなんと憐れな姿であろうか・・・・。 わずかに残された微笑を探そうと歩く。もう見るのも耐えられないねと呟きながら。
来年また来よう!と彼が言う。ちゃんと日付を記しておいてもっと早く来るんだと。 うん・・来年ね。と応えながら・・すごく虚しくなった。
落胆はもとより・・それよりこうして花の終わりをまともに感じたことはなかったから。 毎年咲くのがあたりまえに思って、その命をいたわろうともしなかったことに。 綺麗な時だけ持て囃し・・枯れる時から目を反らしていたんだなと思う。
これが自然の営みであろう。枯れて終らなければまた咲くことはあるまい。 雨の季節に咲いて人々の心を和ます。それが紫陽花の使命なのかもしれない。
とっ・・思えばはるばる会いに来て良かったのだ。
落胆は何処へ・・帰りはほっとして眠りこけた。 また会いに行こう。笑顔と笑顔で再会を・・・。
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