ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2003年09月29日(月) 父の声

昼休みに弟から電話があった。実父の様子がどうもおかしいと言うので・・
ががんと不吉な予感が襲って来る。あれこれと悪いことばかり考えてしまう。
ここしばらくのあいだにひどく痩せていたそうだ。いつもの元気がなくて心配だと
弟が言うのだった。「今夜にでも電話してやってくれないか」と。

そうね・・今夜必ずする。私は・・本を読んでいた。すぐにまた夢中になって読む。
こういうところは薄情者。ほんとは心配なんだけど・・忘れたふりをしたりして。

とうとう昼休みが終る直前に電話をしてみる。留守だった。
そうそう・・父はいつも昼間は出歩いているひとで。居ないのが当たり前だから。
なんだ・・元気なんだ。居ないってことは元気な証拠じゃんと思う。

「みかです。変わりない?ちょっと電話してみました」と声を残しておいた。

で・・それからまた忘れていた。仕事が切羽詰ってしまってそれどころじゃなくて。
時々・・ふっと思い出した。銀行で順番をじっと待って居る時とか・・。

帰宅途中携帯がなる。父からだった。急いでクルマを停めて話す。
「どうした?何かあったか?」と言う。それは私のセリフじゃんお父ちゃん。

とても元気そうな声だった。「ちょっと断食しとってな」と笑っている。
断食って?そんなバカなと思ったけど、うんうんとう頷いてしまう。
何日間か知らないけど牛乳だけで過ごしているそうな。あんまりだよお父ちゃん。

「心配ないよ ありがとな」そう言って切れた。父の声が・・ぷつりと切れた。
痩せているだなんてわかりっこないよ。顔が見えないのだから・・何も見えない。


夜になり今度は弟に電話する。元気そうだったよとしか言えないけど。
でも・・弟は力を込めて言い続ける。「絶対におかしいんだ!」と。
見えないのはもちろん、もう10年以上も会っていないから・・姉ちゃんには分からない。
なんという親不孝であろうか・・情けない気持ちでいっぱいになった。

近いうちに会いに行くからと弟と約束をした。
今まで・・何度この約束をしたのだろう。父との約束さえ果たしていないのに。
いつかきっと手遅れになるからと自分を責めたくもなる。

「せめて度々電話ぐらいしてやれよ」と弟が言う。分かった・・ちゃんとするから。
でも・・またきっと「大丈夫や!」って言うよお父ちゃん。

見えないのじゃなかった。会えないのじゃなかった。

私が・・会いに行こうとしないだけなのだった・・・。


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