午前中は雨。なんだか春の雨のように暖かかった。 そんな雨があがるなり強い北風が吹き始める。 やはり冬なのだなと思い知らされたような午後であった。
帰宅するなり真冬用の防寒着を引っ張り出した。 フードを被るとおばあちゃんになった赤ずきんちゃんのよう。 これでどんなに寒くても大丈夫と元気いっぱいに散歩に出掛ける。
お大師堂でお参りを済ますと今度は大橋のたもとまで歩く。 万歩計は5千歩がやっとだけれどそれでじゅうぶんだと思っている。 出来る事を少しずつ。無理せずこつこつがいちばんではないだろうか。
大橋のたもとの休憩所でひと休みしている若いお遍路さんと出会った。 真新しい白装束がとてもまぶしくて笑顔の素敵な好青年であった。 大きな荷物を見ただけで野宿ではないかとすぐにわかった。 時刻は三時半、今夜はどこで泊まるのだろうとすごく心配になる。
青年は微笑みながら「まだ三時半だから」って応えた。 伊豆田トンネルという長いトンネルを抜ければ野宿出来る場所がある。 「そこまで頑張りますよ」と元気な声で応えてくれた。
なんのお接待も出来なかったけれど、声をかけることが出来て良かった。 日々のささやかな出会いこそがありがたくてならない自分がいる。
夕食の支度をしていたら夫が「外を見てみろよ」って叫んだ。 窓の外が真っ赤だった。路地も土手もこんなに茜色に染まるなんて。
夕焼け空は明日への希望でもある。そうして今日の平穏をかみしめる。
生きていたんだなってすごくすごく清々しい気持ちになった。
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