ここ数日氷点下の朝が続いている。 そんな寒い朝にあんずが逃走してしまって大騒ぎだった。 朝は夫と一緒に散歩に行くのが日課なのだけれど 夜明け前の暗い犬小屋でリードが外れてしまったようだった。 しまったと思った時はもう遅く、あんずは一目散に駆け出していったもよう。 夫はすぐに追い掛けて行ったけれど暗くて姿を見失ってしまったそうだ。
「大変な事になったぞ!」夫の叫び声に一瞬あんずが死んでしまったのかと思った。
「死ぬどころか元気すぎるぞ」あんずが逃走した事を知りふたりで捜しに出掛ける。
いちばん最初に仲良しのランちゃんの家へ行ってみた。 以前にリードが外れた時もまっしぐらに向った場所だったから。 でもいない。いったいどこに行ってしまったのだろう。
今度は大橋のたもとまで捜しに行く。クルマに轢かれたらどうしよう。 そんな不安をよそにそこでも姿が見えないままだった。
もしや?最後にお大師堂に向ってみるとぼんやりとあんずの姿が見えた。 夫とは一度も来た事のない場所。私と歩く散歩道を覚えていたらしい。
「そうか、そうか、独りでお参りに来たのだね」
とても怒る気にはなれなくて擦り寄ってきたあんずの頭を撫でる。
おかげで流れ星を三つも見れたぞと夫。
夜明け前の東の空が燃えているように赤く染まっていた。
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