予報どおり大荒れのお天気となる。 雨はそれ程でもなかったがとにかく風がもの凄かった。
夜明けを待ちかねるように川仕事に出掛ける。 その頃にはまだ雨も風も弱くてずいぶんと助けられた。 やれるだけ頑張ってみようと夫とふたりで精を出す。 海苔の生育も峠を越しそろそろ寿命が近づいているようだ。 もうじゅうぶんに恵まれたのだと思って最後まで頑張りたいと思う。
午後、吹き荒れる風の音。雨音を聞きながらのんびりと過ごす。 久しぶりにゆっくりと休めたように思う。うたた寝もまた心地よし。
「おい、外が明るくなってきたぞ」夫の声に目を覚ます。 風はまだ強いけれど雨はやみ薄陽が射し始めていた。
犬小屋に行って寝ているあんずを起こしてみる。 「あんちゃん、雨やんだよ」三回くらい言ってやっとあんずが顔を出す。
そうして雨上がりの散歩道をゆっくりと歩いた。 クローバーには真珠のように雨粒が輝いている。 その雨粒とたわむれるようにあんずがくんくんしている姿も微笑ましい。
お大師堂には見覚えのあるお遍路さんが来ていた。 どうやら去年の初夏に一度会っていたらしい。 遠く沖縄から来ているお遍路さんで冬の間は自宅に帰っていたそうだ。 「家にいてもどうにも落ち着かなくてね」って微笑んでいた。 春、夏、秋とお遍路を楽しむのが人生の醍醐味であるように語ってくれた。
またきっと会えることだろう。その穏やかな顔を私は決して忘れない。
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