夕方あんずと一緒に土手にあがると とても心地よい風が吹き抜けていた。
昼間の暑さがうそのよう。 両手を広げて鳥みたいに羽ばたいてみたくなる。
ひょっこりひょっこりとあんずが歩く。 まるで風に身を任せているかのように ゆらりゆらりと気持ちよさそうに歩く。
ほんの100メートルくらいだろうか。 もう疲れてしまってやっとの思いで家に帰った。
土手の階段を下りるのが苦手になってしまって 踏み外しては転んでしまうのだけれど はあはあ言いながら一生懸命に我が家を目指す。
晩御飯も少しだけ。このところすっかり食欲が落ちた。 ドックフードは殆ど食べず、お肉の缶詰ばかり食べている。 それでもガツガツと食べてくれたらとてもほっとする。
犬小屋のまわりにも打ち水をいっぱいして 少しでも涼しいところで寝させてあげたかった。
おやすみなさい。それは一方通行だけれど のそのそと犬小屋に潜り込む後姿にいつも声をかける。
無事に朝を迎えられますようにそればかり願っている。
どうしようもなく老いることのせつなさ。
けれどもいっしょうけんめいに生きようとしている大切ないのち。
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