つゆ草って初夏に咲く花だと思い込んでいた。 少女の頃からとても好きだった花なのにどうして忘れていたのだろう。
雑草の生い茂る職場の庭にそこだけほっこりとその花が咲いていた。 彼岸花のように決して華麗ではないけれど まるで秋の空のように青くてとても可愛い蝶々のような花だった。
一週間ぶりの山里、空気がひんやりと爽やかで美味しい。 昨日の気まずさもあったけれど、「おはようさん」母の明るい声が嬉しい。 たまっていた仕事をとんとんとこなす。私は忙しのが大好きだった。
母は来週に迫った自動車保険の資格更新試験に向けて猛勉強をしている。 試験はパソコンで行われるため、高校のパソコン講座に通い始めて半年。 まだ少しマウスの使い方などが不慣れだけれど、一生懸命に頑張っている。 インターネットでの模擬試験に挑戦したりしているけれど結果は不合格。 解答を確認しながら、間違った箇所をノートに書き写しチェックをする。
そんな姿を見ていると母ってすごいなとつくづく感心するのだった。 その反面、なんだか可哀想にも思えてきて複雑な気持ちにもなる。 そろそろ引退させてあげたい。けれどもそれを言うと母を怒らせてしまう。
年なんて関係ないんだよ。いくつになっても挑戦出来るのだからと。
明日からまた三連休、「あんたは休むよね」と何度も念を押す。 私がそばにいないとパソコンを起動するのがとても不安なのだそうだ。 特にインターネットは不慣れで何度教えてもうまくいかなかった。
一人でも大丈夫、きっと出来るから。そう言って励まして帰路についた。 模擬試験で合格になったら自信も出来てくるだろう。 がんばれ母さん、いつも言っているでしょ。「やってやれないことはない」
試験は来週の木曜日、私も出来るだけ母を助けてあげたい気持ちでいっぱいだった。
ねえ母さん、落ち着いたら庭のつゆ草を一緒に見ようね。
「可愛いね」って母さんの笑顔が目に見えるようだよ。
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