覚悟はしていたけれど雨風ともに強い一日となった。 朝の山道では一部道路が冠水している場所があって ちょうど通りかかったお遍路さんが難儀をしていた。 クルマを停めて声をかける。ただそれだけしか出来ないのがもどかしい。
山里の道に進むと今度は団体遍路さんの一行に出会った。 色とりどりの雨合羽を羽織って皆さんうつむき加減に歩いていたけれど この悪天候に「歩く」そのことがとても尊く思えてならなかった。
お昼下がり、雨は一向にやみそうにもない。 仕事でJAに行った帰り道にまた一人のお遍路さんを見かけた。 職場のすぐ近くの「お遍路さん休憩所」に居たのだけれど 雨が降りこんでベンチはすっかりびしょ濡れになっているようだった。
私は職場に帰り着くなり傘をさして駆け出していた。 ほんとうに咄嗟の判断、ただただ「行かなくちゃ」って思っていた。
お遍路さんは昼食を摂ろうとしていたのだけれど、そこでは出来なかったらしい。 諦めてもう少し先に行ってみようと歩き始めたところだったそうだ。
職場の事務所に案内するととてもほっとしたように喜んでくれて私も嬉しかった。 熱いお茶をお接待させてもらっておしゃべりをしながらおにぎりを頬張る。
遠く神奈川から来られたお遍路さんで、区切り打ちで今日が最終日だと言うこと。 今日ほど辛い日はなかったと感慨深く語られて私も胸が熱くなってしまった。
奥様を10年前に亡くされて今は認知症のお父様の介護をされているらしい。 そのお父様を一時施設に預かってもらってやっとお遍路を再開出来たそうだ。
結願まではほんとうに遠い道のり、けれどもきっとお大師さんがまた呼んでくれる。 そんな話をしながら満面の笑顔、私の心もほっこりほっこりと温かくなっていく。
今までいろんなお遍路さんとのご縁をいただいたけれど 今日の出会いはとても心に残る素敵な出会いだったと思う。
雨が風が強くなければ決してなかったろう縁に感謝の気持ちが込み上げてきた。
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