台風の雨雲がゆっくりと遠ざかって行ってくれたのか 昨日ほどの大雨にはならず小康状態のまま夜を迎える。
夕方お大師堂にお参りに行くと、すぐ真下で濁流が渦巻いていた。 ゴウゴウと川がうなり声をあげているような音で思わず身震いをする。
お大師堂には二人の青年遍路さん、昨日から足止めになってしまったようだ。 「ゆっくりと休ませてもらいました」と言ってくれた笑顔にほっとする。 この雨があがればしばらくは晴天が続きそうだった。 どうか元気にどうか無事に旅を続けてほしいものである。
お大師堂で手を合わせながら母の顔ばかり浮かんでくる。 実は先日から風邪気味だったのが、肺炎になってしまって昨日入院してしまった。 「ちょっと荷物を取って来ます」と病院を逃げ出し、山里の職場に出勤してくる有様。
いくら気丈な母の事とは言え、私も叱らずにはいられず追い返すように病院へ行かせた。 仕事のことは心配しないで、とにかく安静にして治療しないと死んじゃうからね。
やっと観念したのか、今日はしっかりと入院生活を送っていたようだ。 「熱が下がったよ」と絵文字付きのメールなど送って来てひと安心。 順調に完治すれば10日ほどで退院出来そうであった。
普段からゆっくり休むと言うことが殆どない母をなんとしても休ませてあげたいと思う。
思えばこれまで母任せにしていたことがたくさんあった。 私がいなくてもなんとかなるだろうとタカをくくっていたけれど 母のいない職場にいるとこれまでの母の苦労がよくわかるのだった。
お大師さんに願い事をしてはいけないと思いつつ、やはり願ってしまう。 どうか母が早く元気になりますように。お大師さんと母の顔が重なる。
濁流が渦巻く川面をはらはらするように見つめていながら
この流れもすぐに穏やかでゆったりとした清流に変わるのだろうなって思った。
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