仕事帰りに買物に寄ったら入口の花屋さんに桜草の花がたくさん並んでいた。 わぁと思わず歓声をあげる。白とピンクの二鉢を買って笑顔でいっぱいになった。
まるですっかり春の気分。ほんわかとあたたかい気持ちになれて幸せだった。
助手席に春をのせて家路につく。「ただいま」の声も心なしかはずんでいた。
あんずの犬小屋も処分してしまって、いっそう寂しくなった庭に たくさんの花を植えてみるのもいいなって思った。
冬のやわらかな陽射しがふりそそぐ土手の道を今日も歩く。 てくてくと歩けば歩くほどこころも晴れやかになるものだった。 見渡す限り雀色だった土手にも蓬の緑があちらこちらに見えるようになった。 そういえばそんな草の匂いをかぐのが好きだったなってまたあんずを思い出す。
お大師堂でお参りを済ませ、今度は川沿いの河川敷を歩いて帰る。 あまりの心地よさに真っ直ぐ家に帰るのがもったいないような気がして 大橋のたもとの休憩所まで行ってみた。ほんとうに久しぶりのこと。
なんとものどかな風景。川の流れも空の青さも目に沁みるようだった。
ここに暮らしてもう35年目の春が来ようとしている。
過ぎ去った歳月が走馬灯のように浮かんでは胸にいつまでも明かりを灯している。
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